2026.01.14

宮本義昭氏コラム

【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第12回

生産性向~NPO法人 蔵前バイオエネルギーの取組

はじめに

木質バイオマスをはじめとする多くのバイオマスの有効活用を検討されている企業や団体は非常にたくさんあります。その中で大変興味深い

研究、技術開発、社会実装に取り組まれているNPO法人の蔵前バイオエネルギーという団体とその団体のユニークな取組に関して今回はご紹

介したいと思います。

特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギーのご紹介

私の卒業校でもある東工大(現東京科学大学)からご紹介を受けて私も最近、この団体の会員にさせて頂きました。

①    活動理念
私たちは、美しい地球を子供や孫達の代に残すため、技術的好奇心と情熱で、バイオマスエネルギーをはじめとする再生可能エネルギーの活用

や技術問題解決とその事業化に取り組む技術者集団です。

②    活動概要
蔵前バイオエネルギー(略称:K-BETS、以下略称表記)では、定款で定めた次の4つの柱のもとに活動を行っています。

1. 技術開発とその実用化事業
2. 技術関連情報の収集と提供事業
3. 事業化に関する相談と支援活動事業
4. 社会への提言と啓発活動事業

会員自身の問題意識による技術の調査から開発・実用化までの自発的な活動と、バイオマスのエネルギー化プロジェクトを実施する他のグループ、中小企業、地方自治体などへの支援をバランスよく行おうとしています。また、運営に必要な資金獲得も重要な要素です。
会員の技術的好奇心が満足し、社会貢献ができて、資金の獲得にもつながる、といった活動を目指しています。

③    主な活動
・藻類(アルジェ)研究会:藻類の培養とエネルギー利用研究
・技術情報検討会:バイオマスとエネルギーに関する科学技術情報の交換と検討
・Kシステムプロジェク:K-BETSが考案した間伐材等の集材法「Kシステム」技術開発と普及活動
・熱エネルギー研究会:バイオマス資源の熱とエネルギー利用技術の研究
・バイオマスセミナー:バイオマスに関連するテーマのセミナーを開催
・政策研究会:バイオマスのエネルギー利用政策の提言
・事業推進検討会:バイオマス関連の事業化検討と推進
・竹林プロジェクト:様々な竹の利用法を提案して竹の活用推進により竹林の拡大を阻止する
・バイオチクプロジェクト:竹粉を利用したバイオプラスチック推進
・林業システム研究会:木質バイオマスの収集手段研究Kシステム、バイオチク、竹林のプロジェクトを立ち上げ、さらに検討推進中。

ユニークな集材システム「Kシステム」と「V滑車」

Kシステムとはチェーンで無限軌道を作り、チェーンには独自開発した器具を使って台付ワイヤーを取り付け材木に固定し、連続的に全木集

材する全く新しいユニークな集材システムです。最大で5本の材木を同時集材した事があるそうです。条件が良ければ多くの木材を同時に連続

して集材が可能であり、架線集材の様に材木の伐倒位置を何度も行ったり来たりすることもありません。

出典:NPO蔵前バイオエネルギーのホームページより

私たちの情報 – NPO法人蔵前バイオエネルギーNPO法人蔵前バイオエネルギー

架線集材と似ていますが、架線集材は、危険なワイヤー主体で、かつ、複雑な線張りに大変手間がかかります。Kシステムはチェーンの無限軌

道一式のみの設置により実現が可能ですので比較的短期間で設置が可能です。

また、架線集材は集材機の移動も一苦労ですが、Kシステムの駆動装置は移動可能な重機に取り付けることが前提となっていますので集材位置

の変更を短時間で行う事も容易です。

オプションのV滑車は「ワイヤーだけ滑車からはずれる構造」を持つ特殊な滑車です。当然、チェーンは滑車からはずれませんが、材木を直接

引っ張っているワイヤーだけはずれますので尾根越え集材が可能な仕組みを提供します。これだけで開発に10年もかかったそうです。当然、特

許申請もしています。

なかなか文章では理解できないと思いますので、下記、動画を参照下さい。

日本の山林に適した集材装置の開発 – NPO法人蔵前バイオエネルギーNPO法人蔵前バイオエネルギー

出典:NPO蔵前バイオエネルギーのホームページより

私たちの情報 – NPO法人蔵前バイオエネルギーNPO法人蔵前バイオエネルギー

ポーラス(多孔質)竹炭

竹に関しては、皆さんの地域でも放置竹林増加により、困られている自治体、企業、個人の方がいらっしゃるかと思います。

私も実家が岐阜県の濃尾地方の養蚕の盛んな地域だったところでもあった事から養蚕に必要な竹籠などの容器作成の為からか竹林が多くありま

す。「絹の帝王」と言われた原三渓(1902年富岡製糸場の経営、1915年に帝国蚕糸の社長、1920年に横浜興信銀行(現在の横浜銀行)の頭

取)の生家も近くにあります。

竹炭に関しては各地域で有効活用を検討されているかと思いますが、K-BETSでは安価な炭化炉の開発や竹炭の安価な製造方法を研究、開発、

社会実装の取組を行っています。

ポーラス竹炭とは通常の高価な窯焼きの竹炭ではなく、開放型の安価で簡易に設置できる炭化炉に連続的に燃えた竹の上に竹を連続投入する事

により、安く大量に竹炭を製造します。これにより多孔質な竹炭ができます。

出典:出典:NPO蔵前バイオエネルギーのホームページより

ポーラス竹炭の土壌改良効果 – NPO法人蔵前バイオエネルギーNPO法人蔵前バイオエネルギー

このように比較的大きな穴が大量に竹炭にできることにより、保水性が良くなり、微生物も棲みやすくなります。

出典:出典:NPO蔵前バイオエネルギーのホームページより

ポーラス竹炭の土壌改良効果 – NPO法人蔵前バイオエネルギーNPO法人蔵前バイオエネルギー

通常木質バイオマス発電所ではカリウムの多さから竹は敬遠されていますが、カリウムは植物には必須な元素です。また、多孔質であることか

ら植物に窒素を供給できる微生物の繁殖にも有用です。更にメカニズムはよくわかっていないのですが、日本は火山大国でマグマの中にはリン

酸がたくさん含まれています。これにより日本の土壌にはリン酸が多く含まれていますが、ほとんどが不溶性で植物が利用できないのですが、

竹林ではこの不溶性のリン酸が水溶性に変化し、竹炭で植物に供給が可能となります。

昨今の円安やロシアのウクライナ侵攻により肥料の高騰が問題となっていますが、ポーラス竹炭により植物に必須なリン、カリウム、窒素を供

給できる土づくりができるのではないかと期待しています。

ポーラス(多孔質)竹炭の農業、林業活用

安価に大量に作ることが可能なポーラス竹炭の活用により農業や林業に大きな貢献ができるのではないかと想定しています。

農地や林地、樹木や野菜の苗木生産にポーラス竹炭を活用することで肥料の節約、炭素固定に活用できるのではないかと思います。

炭素固定に関してはJクレジットのような二酸化炭素排出削減の取組を通じて換金化することが可能でしょう。具体的には方法論番号:AG-

004、方法論名称:バイオ炭の農地施用により、難分解性の炭素を土壌に固定するということです。

K-BETSの開放型可搬式炭化炉

下記、2種類がK-BETSにて開発されています。

①    開放型可搬式大型炭化炉 DECAシリーズ

出典:出典:NPO蔵前バイオエネルギーのホームページより

開放型可搬式炭化炉 – NPO法人蔵前バイオエネルギーNPO法人蔵前バイオエネルギー

②    開放型可搬式炭化炉 炭之助

最後に

今回は既に製品化されている炭化炉や製品化直前のKシステムに関して取り上げました。毎回、中長期的な方向性を論じたコラムが多かったの

ですが、今後はこうしたアイデアや技術、企業、団体のご説明もしていきたいと思います。

以上、ご関心あれば下記までご連絡下さい。

宮本義昭:メールアドレス:ym00876216@gmail.com

(過去のコラム)
第一回:人手不足対策、地域の空き家問題対策、リフォーム事業拡大
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第1回 – 日本木材青壮年団体連合会
・海外人材紹介と定着サービス:フューチャーデザインラボ社のご紹介

第二回:少子化問題と木材産業の成長
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第2回 – 日本木材青壮年団体連合会
・中堅中小企業の売上利益拡大を支援:Revitalize社のご紹介

第三回:リプレイス大作戦その1~石炭の代替
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第3回 – 日本木材青壮年団体連合会
・林業コンサルティング会社:KOSO社のご紹介

第四回:リプレイス大作戦その2~外材の代替
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第4回 – 日本木材青壮年団体連合会

第五回:リプレイス大作戦その3~天然ガスと石油の代替
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第5回 – 日本木材青壮年団体連合会

第六回:リプレイス大作戦その4~外材、化石燃料以外の代替
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第6回 – 日本木材青壮年団体連合会 

第七回:生産性向上~林業 育林コストの大幅な削減
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第7回 – 日本木材青壮年団体連合会

第八回:生産性向上~林業 森林所有権の集約
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第8回 – 日本木材青壮年団体連合会

第九回:生産性向上~林業 10年後のあるべき森林管理をめざして 
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第9回 – 日本木材青壮年団体連合会

 第十回:生産性向上~林業 10年後の素材生産
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第10回 – 日本木材青壮年団体連合会

(所属企業、団体)
株式会社バルステクノロジー 代表取締役社長
兼 株式会社KOSO アドバイザー
兼 日本木材青壮年団体連合会 広報委員会アドバイザー
兼 株式会社Revitalize アドバイザー
兼 株式会社Dione アドバイザー
東京科学大学(旧東京工業大学)基金特別会員
プラチナ構想ネットワーク 法人会員
先進EP研究会 会員
Asagiラボ 賛助会員
東海バイオコミュニティ 法人会員
林野庁 森ハブ・プラットフォーム会員
東京丸の内イノベーションプラットフォーム林業分科会
蔵前バイオエネルギー 正会員

(拙著:代表作)
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