2026.03.03

安藤きらり氏コラム

【安藤きらり氏コラム】みどりの大使の『木育日記』 第6回

チェーンソーと向き合った二日間

ミス日本というと、華やかな活動を想像されることが多いかもしれません。しかし、活動の中で特に意外に思われることの一つが、チェーンソーの資格取得です。ドレスを身に纏いスポットライト浴びる世界から一転、エンジン音を聞きながら一本の木に集中する時間は大変貴重で、忘れられない経験となりました。

神奈川県自然環境保全センターにて、二日間にわたりチェーンソーの講習を受講しました。緑の雇用のポスター撮影の際に手に持ったことはありましたが、実際に動かしたのは初めてでした。

受講者の年齢層は幅広く、長年現場に立ち続けてきたであろう方から、これから林業の道に進もうとする若い世代まで、多様な顔ぶれが並んでいました。

講習は、1日目が座学、2日目が実技という構成でした。

座学では、チェーンソーの構造や整備方法、安全装備の重要性、作業に潜む危険性について学びました。特に印象に残ったのは事故に関する講義です。林野庁の公表資料には「林業労働災害の現況」として詳細な統計が示されています。数字として並ぶ死亡事故は、静かな警鐘のように胸に響きました。

また、死亡者の半数以上が60歳以上であるという事実は、経験という鎧をまとっていても、危険は容赦なく襲いかかることを物語っています。熟練こそが安全を保証するわけではない、その現実をデータは冷静に語っていました。

こうした話を聞き、自分がチェーンソーを扱うことに対して強い不安を覚えました。しかし、その「怖さ」は、危険を見誤らないための羅針盤でもあります。不安があるからこそ、作業前の点検や手順確認を怠らず、基本に立ち返る姿勢が生まれるのだと感じました。

よく「基礎が大切」と言われますが、今回の講習を通して、その言葉の意味を実感しました。経験を重ねることで作業は洗練されていきますが、同時に足元の石につまずく危うさも潜んでいます。チェーンソーに限らず、あらゆる作業において基礎を見つめ直すことは、安全への最短距離なのだと思います。

初めてチェーンソーを動かしたときの緊張感と慎重さは、今後の自分にとって原点となる感覚です。初心とは、消えていく感情ではなく、磨き続ける道具のようなものなのかもしれません。

チェーンソーを自在に操り、日本の森林と林業を支えている皆様の姿は、木々の根のように静かで、しかし確かに社会を支えています。現場で責任を持って作業に従事されているすべての方々に、心より敬意を表します。

今回の講習を通して、チェーンソーは単なる作業道具ではなく、人の命と森の未来を同時に背負う存在なのだと実感しました。怖さを知ったからこそ、慎重になれる。その緊張感こそが、安全を守る力になるのだと思いました。

この二日間で得た学びを胸に、林業の現場で積み重ねられてきた努力や思いを、これからも自分の言葉で伝えていきたいと強く思います。

実際に森で働かれている皆様と談笑。とても勉強になりました。

一人では持てない大きさのチェーンソーを触らせてもらいました!

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