2026.03.23
木力NOTE
木力NOTE ―木で未来をつくる人たちへ 第13回
第13回 木の力を若い世代へ伝えるために
こんにちは。日本木材青壮年団体連合会(日本木青連)会長の長谷川泰治です。令和7年度のウッディレターは今回が最終号となり、会長コラム「木力NOTE」も第13回をもって締めくくりを迎えることとなりました。最終回となる今回のコラムでは、令和7年度事業の一つであるBundle委員会の活動をその成果とともにご紹介します。
Bundle委員会の名称は、令和6年度スタートアップ委員会において実施した、木材産業に特化した若手起業家育成塾「Bundle」に由来しています。「Bundle」という言葉には「束ねる」「集める」といった意味があり、その響きからも、人や想いをつなぐ前向きなイメージを感じました。若い世代が集い、それぞれの力を持ち寄り発揮していく。その姿と重なり、ふさわしい名称であると考えました。
令和7年度は、この「Bundle」を委員会名として掲げ、若い世代が集い、発展的な情報交換や挑戦の機会を創出する事業を展開しました。そしてその先にあるのは、「木材業をなりたい職業イチバンに」という目標です。若者が希望を持ち、誇りを持ってこの業界を志せる未来を目指し、活動を進めてきました。
Bundle委員会では、本年度3つの事業を実施しました。
1つ目は、木材産業の価値や魅力を学生に伝えるセミナー「MOKUSEMI(モクセミ)」です。第1回は令和7年10月29日(水)に大阪・越井木材工業株式会社様にて、第2回は令和7年11月13日(木)に東京・株式会社梶本銘木店様および木材・合板博物館にて開催しました。
本セミナーは、単なる業界説明会にとどまらず、工場見学や銘木倉庫の見学、博物館見学など、木材産業を“体感”できるプログラムを組み込みました。さらに、大阪会場では株式会社日建設計の大庭拓也氏、東京会場では株式会社森未来の山北絵美氏をお迎えし、特別講演も実施するなど内容の充実を図りました。各回とも20名を超える学生にご参加いただき、セミナー後の交流会では「木材業界で働きたい」「これまで知らなかった木の魅力に触れることができた」といった前向きな声が寄せられました。木材産業の可能性を直接感じてもらえる、実りある機会となりました。



2つ目の事業は、木材産業特化型のオープンカンパニー紹介プログラム「キノシゴトNAVI」です。
インターンシップが実際の業務を体験する就業体験型であり、採用を見据えて特定の学生を対象に実施されることが多いのに対し、オープンカンパニーは、より気軽に企業や仕事について知ることができる短期型のプログラムです。職業体験を伴わないため学年を問わず参加でき、企業や業界への理解促進を目的としています。
「キノシゴトNAVI」は、オープンカンパニーの受け入れを希望する日本木青連会員企業と、木材産業に関心を持つ学生とをマッチングする仕組みです。近年の学生は、先進的な環境教育を通して「木材利用が社会や環境に貢献する」という理解はありますが、実際の木材業界や木材産業に触れる機会は少なく、就職先の選択肢として具体的に認識されにくいのが現状です。一方で、私たち業界側は慢性的な人材不足に悩まされています。この両者のギャップを埋めるために立ち上げたのが本プログラムです。


2月末時点で約30件の問い合わせをいただき、すでに15件のオープンカンパニーを実施しました。その内の3名の方はオープンカンパニーで訪れた材木屋へ就職が決まりました。チラシ配布や大学での出張授業など様々なアプローチを行いましたが、最も効果があったのはFacebookやInstagramなどMETA社のサービスを活用したショート動画広告でした。その動画は約16万回再生され、多くの若者に木材産業の存在を届けることができました。SNS広告という新しい手法を活用することで、木材産業の認知度向上に一定の成果を上げることができました。「木材業をなりたい職業イチバン」にするためには、私たち自身が発信のあり方を変えていく必要があり、その手応えを感じた活動でした。
3つ目の事業は、新商品・新規ビジネス開発セミナー「MOKU idea LAB(モクアイデアラボ)」です。
今年度のスローガンである「木力(もくりょく)」と異分野の知見を掛け合わせることで新たな化学反応を生み出し、新規事業の創出や組織変革に役立ててもらいたいという思いから、「木力×〇〇」をテーマにした特別セミナーを全3回開催しました。木材業界以外の第一人者をお招きし、その知識や経験から新たな視点とイノベーションのヒントを学ぶ場としました。
第1回は「木力×組織改革」です。令和8年1月20日、ソニー株式会社本社にて小田島伸至氏にご講演いただきました。ソニーの新規事業促進ノウハウと伴走支援により、27業種・920超の事業創出を支援してきた知見をもとに、DX時代における新規事業開発や組織変革の最前線について、豊富な事例を交えながらお話しいただきました。

第2回は「木力×起業家精神」です。令和8年2月28日、楽天グループ株式会社の小林正忠氏をお迎えしました。従業員一人ひとりの情熱と自律性を引き出し、起業家精神によって新たな価値を創造する組織文化について、楽天グループの具体的事例から学びました

そして第3回は「木力×社会課題」です。令和8年3月6日、自由民主党衆議院議員の大空幸星氏にご登壇いただきました。孤独・孤立対策の最前線で活動される大空氏から、若者の自殺や不登校など「望まない孤独」という社会課題と政策の役割について解説いただき、社会課題を解決していくために私たちが果たすべき行動のヒントを学びました。

いずれの講座も非常に示唆に富む内容で、多くの気づきと学びを得ることができました。私自身も経営に向き合う姿勢が少し変わったように感じています。常に挑戦を続ける勇気を、講師の皆様から改めていただいた思いです。また、講師や参加者との交流を通じて、同じ志を持つ仲間と語り合い、学び合える出会いの場となったことも大きな成果の一つでした。
以上の3つの事業を通じて、Bundle委員会は「若者を束ねる」「想いをつなぐ」「挑戦を生み出す」という役割を果たしてきました。学生に業界の魅力を伝え、企業と若者を結び、新たな発想や経営のヒントを得る機会を創出する。その一つひとつの積み重ねが、木材業界の未来へと確実につながっていると感じています。今回の事業の実施にあたり、委員会の皆さまはもとより、木材・合板博物館の皆さまからも多大なるご協力を賜りました。心より御礼申し上げます。
7月から書き始め、9カ月にわたり13回のコラムを執筆してきました。当初は何を書こうか、何を伝えていこうか明確に決めないまま書き始めました。コラムという形だからこそ、あえて道筋を定めすぎず、自由な視点で書き続けてみようと思ったからです。結果として、日本木青連の事業と重ねながら、私自身の会社の取り組みやこれまでの歩みも交え、「木の力」、そして木材産業の魅力を多角的に発信する機会となりました。
歴史から学ぶことも多く、またDXなどの新しい潮流から得られる学びも数多くあります。大切なのは、その両方に真摯に向き合い、学び続けることだと感じています。私自身、まだまだ学ぶべきことばかりです。「書くことによって学ぶ」という言葉がありますが、この9カ月はまさにそれを実践させていただいた時間でした。ここまでお付き合いいただきました皆さまに、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。



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