工場の稼働率向上
工場の建屋、配管、機械の「振動」をセンサー無しで可視化する技術:SYNRA社
はじめに:
工場を運用していると突然の故障により、長期にわたり工場の稼働を停止させないといけない事態に陥ることがあります。
また、故障の原因究明に時間がかかったり、「たぶん、こういうことだろう」と原因究明をあきらめたり、「たぶん」で終わらせてしまったりすることが多いのではないでしょうか?
そうならない為に通常はセンサーを付けて機械を監視したり、定期点検したり、されていると思いますが、実際にはセンサーでは検知不能な箇所は多数あり、十分な監視ができている工場は限られているのが実情だと思います。
今回ご紹介するのはセンサー不要、今までセンサー監視が不能であった箇所の振動も捉えることが可能な技術です。
例えば、切削する機械の刃物の先端にどのような振動があるかリアルタイムに可視化することが可能です。また、常時監視することにより、故障する瞬間も捉えることができます。
非接触、かつ、リアルタイムに振動の可視化を行う技術:
どのように非接触で、かつ、リアルタイムに振動の可視化をするのでしょうか?
詳しくは掲載できませんが、大まかにいえば、カメラで撮影した画像から振動を取り出す高度なソフトウエア技術となります。
この技術を開発したのは、広島大学及び広島大学発スタートアップ企業であるSYNRA社です。
リアルタイムに可視化:
センサーの設置は全く不要でカメラを設置するだけです。また、現在、ドローンにカメラを搭載して可視化するシステムも開発中です。ドローン自体も動いたり振動したりしますからとても難しい技術となります。
① 撮影した画像を
② AI(画像解析)で瞬時に分析し、
③ 振動を可視化します。
この間にかかる時間はたった1/1000秒です。
(出典)SYNRA社 社内資料 1/1000=処理時間の目安
可視化に要する作業時間は90%以上削減:
従来の方法では
① 人を集めて
② センサーを設置して
③ データを取って
④ 分析する。
合計で2時間以上はかかります。
SYNRA社の方法では
① カメラを置いて
② 撮影して
③ AI(画像解析)分析
合計で5分もあれば完了です。
(出典)SYNRA社 社内資料
応用例
① 橋梁などの大規模設備の振動の可視化
(出典)SYNRA社 社内資料
このように橋梁の様な大規模な施設を多くのポイントをリアルタイムに振動を可視化することが可能です。この例の橋梁よりもはるかに大きなある大企業の工場設備を可視化したところ異常な振動ポイントが見つかり、詳細に調査したところ亀裂が発見されたことがあります。この結果、この大企業の所属している業界団体から表彰を受けました。
目視では不可能な異常な振動を検知することで予防保全、故障の防止が行えるのです。
(出典)SYNRA社 社内資料
こちらの図は周波数別に振動を可視化したものです。このような周波数別に可視化することで監視対象の周波数特性がよくわかります。今後、このような監視結果から周波数特性を鑑みた設計というものが行われ設備の寿命延伸がはかられるようになるかもしれません。
② 不可能だった柔構造の振動の可視化
人間の体の様な柔構造の実挙動は触れると形が変わり、振動も変わりますから誰も実挙動を監視したことがありませんでした。
この技術は非接触ですから、柔構造の振動の可視化にも成功しました。
(出典)SYNRA社 社内資料 人間が自動車の座席に座っている様子を可視化したもの
本技術の特徴
① 点ではなく「面」
既存の方法ではセンサーを張った部分の振動しかわかりませんでしたが、本技術はカメラで撮影された設備や機械の面の振動が可視化できます。
② 絶対ではなく「相対」変位を可視化
絶対変位ではなく相対変位を計測。構造物間のズレを把握。
→絶対変位の計測技術も現在開発中
③ 周波数だけではなく「時系列」データで把握
振動の周波数だけでなく、時系列での変位も可視化することができます。
(出典)SYNRA社 社内資料
カメラだけで自社工場の建屋、設備、機械の振動が可視化できます。故障して工場停止にならない為にも、このような技術を検討してみては如何でしょうか?
たとえば木材関連の工場では、製材機械やチッパー・破砕機の刃、乾燥炉のファン、木屑焚きボイラーや集塵設備など、止まると生産全体が滞る設備が数多くあります。こうした設備の“見えない振動”を、カメラを向けるだけで捉えられます。
最後に:
今回は工場に共通して有用だと思われる最新の「振動可視化」技術を紹介させて頂きました。
SYNRA社の技術を私自身も数社にご説明に行きましたが、どの企業も一度、導入したいという意向を持たれており、早速、見積書を出すように即断された東証プライム上場企業もありました。
工場が停止すると企業には多大な損害が発生し、顧客にも迷惑をかけ、企業としての信用問題にもなりかねません。
その為には予防保全といった活動は重要であり、本技術はそれらに貢献できるものと思われます。
この技術は大きく2つの使い方があると思います。
① 常時監視:極めて重要な監視対象(機械や設備)を常時監視し、壊れた瞬間や不良品が発生した瞬間に監視対象にどのような振動があったのかを可視化し、対策を検討することが可能となります。
② 巡回監視:上記以外は例えば月に一度、全ての監視対象に順番が回ってくるように巡回し、可視化したデータを保存しておきます。時系列にデータを比較し、監視対象の劣化を診断します。
まずは1台のカメラでの試し撮り(デモ)から始められますのでトライアルしてみては如何でしょうか?
以上、ご関心あれば下記までご連絡下さい。
宮本義昭:メールアドレス:ym00876216@gmail.com
(過去のコラム)
第1回:人手不足対策、地域の空き家問題対策、リフォーム事業拡大
・海外人材紹介と定着サービス:フューチャーデザインラボ社のご紹介
第2回:少子化問題と木材産業の成長
・中堅中小企業の売上利益拡大を支援:Revitalize社のご紹介
第3回:リプレイス大作戦その1~石炭の代替
・林業コンサルティング会社:KOSO社のご紹介
第4回:リプレイス大作戦その2~外材の代替
第5回:リプレイス大作戦その3~天然ガスと石油の代替
第6回:リプレイス大作戦その4~外材、化石燃料以外の代替
第7回:生産性向上~林業 育林コストの大幅な削減
第8回:生産性向上~林業 森林所有権の集約
第9回:生産性向上~林業 10年後のあるべき森林管理をめざして
第10回:生産性向上~林業 10年後の素材生産
第11回:生産性向上~木質資源のエネルギー活用
第12回:生産性向上~NPO法人 蔵前バイオエネルギーの取組
第13回:生産性向上~自社へのAI導入:CosBE社
第14回:生産性向上~機械学習データ作成:Nextemer社
第15回:生産性向上~スリープテック:株式会社ACCELStars(アクセルスターズ)
第16回:エネルギー生産性向上と事業拡大 太陽光発電と蓄電池
第17回:エネルギー生産性向上 フローティング電池を活用した電気代削減と事業拡大
第18回:エネルギー生産性向上 移動機械(自動車、フォークリフト、など)の維持管理費用削減① EV
(所属企業、団体)
株式会社バルステクノロジー 代表取締役社長
兼 株式会社KOSO アドバイザー
兼 日本木材青壮年団体連合会 広報委員会アドバイザー
兼 株式会社Revitalize アドバイザー
兼 株式会社Dione アドバイザー
東京科学大学(旧東京工業大学)基金特別会員
東京科学大学(旧東京工業大学)起業創業コミュニティ
プラチナ構想ネットワーク 法人会員
先進EP研究会 会員
Asagiラボ 賛助会員
東海バイオコミュニティ 法人会員
林野庁 森ハブ・プラットフォーム会員
東京丸の内イノベーションプラットフォーム林業分科会
蔵前バイオエネルギー 正会員
ソーラーシェアリング推進連盟 一般会員
(スタートアップ企業支援)
①フューチャーデザインラボ:海外人材紹介と定着
②クラフトバンク:職人さんDX
③アクセルスターズ:スリープテック
④Nextremer:AI機械学習データ作成
⑤CosBE:AIプロトタイピング
⑥Dione:プログラムコード作成自動化、プラットフォーム開発(Adviser)
⑦KOSO:林業コンサル、補助金に頼らない林業へ(Adviser)
⑧Revitalize:BPN(ビジネスプロデューサーネットワーク)(Investor)
⑨Interboro:ロボット稲作(Investor)
⑩YD-Plants:高麗人参自給率1%→X%へ(Investor)
⑪プラントフォーム:アクアポニックス、食料自給率向上(Investor)
⑫ESSH:廃棄物無害化、循環型経済(Investor)
⑬SORENA:廃棄リンゴからレザーを製造(Investor)
⑭Red Yellow And Green:プラントベース・環境配慮型厨房OX(Investor)
⑮Egregium:ロボアド2.0(Investor)
⑯Blueprint one:余剰脱脂粉乳のアップサイクル(Investor)
⑰堤水素研究所:世界最高効率の蓄電池、燃料電池、水電解装置製造(Investor)
⑱ZetaX社:リザバーコンピューティング
⑲SYNRA社:画像から静機械振動を抽出、計測、稼働監視、異常検知
⑳レッツ社:丸太のまま燃やせるボイラー
21.スペースワスプ社:植物廃棄物や木材から樹脂抽出し、独自開発の3Dプリンターで建材や家具を自動製造
(拙著:代表作)
衰退先進国からの脱却シリーズ7 貿易収支赤字常態化し、円安進展する日本 令和版傾斜生産方式の提案 ~鉄鋼、化学、農業、林業、再エネへの超重点的な投資による日本経済の再生




