2025.12.15
木力NOTE
木力NOTE ―木で未来をつくる人たちへ 第10回
第10回 木材活用コンクールと、木材業界のDXが切り拓く未来
こんにちは。日本木材青壮年団体連合会(日本木青連)会長の長谷川泰治です。今回の「木力NOTE」第10回では、12月から募集が始まっている「第29回木材活用コンクール」のご案内と、今年度から新たに取り上げるテーマである“木材業界のDX”について、自社の取り組みも交えながらお話します。
日本木材青壮年団体連合会(日本木青連)が主催する「木材活用コンクール」の作品募集が、12月1日から始まりました。令和8年1月15日(木)まで応募を受け付けています。木材活用コンクールは、木材の新たな利用方法や普及の可能性を探ることで、木材業界の発展に寄与することを目的に創設され、今年で第29回を迎えます。対象分野は、建築物や木質空間、木製品、さらには創造的な木材活用事例まで幅広く、多様な角度から木材の価値を評価することが特徴です。一般的には「建築のコンクール」という印象を持たれる方も多いかもしれませんが、本コンクールは決して建築分野に限りません。木の持つ魅力を最大限に活かしながら、未来へとつながる新しい木材活用の姿を顕彰する、文字通り“木材活用”を中心に据えたコンクールです。

今回から、より応募しやすく分野の広がりを反映するために部門構成を見直しました。A部門は建築分野、B部門は建築以外の分野です。そしてB 部門は以下の 2つで構成されています。B-2部門は今回新たに新設されました。
l B-1部門:家具・玩具・建具・遊具などの木製品
l B-2部門:国産材の需要拡大や高付加価値化に向けたソフト事業など木材活用における様々な活動やプロジェクト
木材関連の事業者の皆さまが地域で行っている木育活動や森林保全活動、大学・研究機関が行う木材活用を推進する授業やプロジェクトなども、まさに B-2部門の対象です。また、木材業界以外の企業や団体においても、最近は木材活用に関する取り組みが増えています。こうした活動も広くご応募いただけます。つまり、木材に関わる「モノ」と「コト」のすべてが応募対象です。ぜひ、多くの皆さまに当コンクールへご参加いただき、ともに木材活用の振興に貢献していけることを期待しています。
そして、今回のもう一つの目玉が「DX賞」の新設です。DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、ビジネスや組織、働き方、サービス、さらには価値提供の仕組みそのものを変革することを指します。今年度は、木材・木造業界におけるDXの取り組みにも光を当て、特に優れた事例に対してこの賞を授与します。
近年、建設業界では設計・積算分野のデジタル化が急速に進み、多くのDX事例が生まれています。また施工分野においても、ロボット技術の活用や、検査・点検作業をデジタル技術で支援する取り組みなど、さまざまな革新が進展しています。

木材・木造業界に目を向けても、川上の林業現場から製材・加工、そして流通に至るまで、多様なDXの取り組みが生まれており、品質や生産性の向上に大きく寄与しています。特に木造建築の領域では、木材の優れた加工性を生かした三次元加工技術や、デジタルデータと連動した高度な施工手法などが導入され、見事な木造建築が次々と実現しています。

こうした木材・木造業界における優れたDXの取り組みを広く社会にアピールするため、今回の木材活用コンクールでは新たに「DX賞」を設けることにしました。多くの関係者に対して、最新の木材活用・木造技術の動向を発信できれば、大変意義深いことだと考えています。
私の会社でも、工務店部門と木材加工部門の双方で、デジタル技術を活用した革新的な取り組みを進めています。例えば、CLTを大屋根・壁として使用したプロジェクトでは、斜めに交わるCLT同士の接合部分の形状やボルト位置が複雑になるため、従来の二次元図面では確認しづらいことが課題でした。そこで、意匠・構造CADとプレカットCADをすべてひとつのモデリングソフトに取り込むことで、三次元で立ち上げたモデルデータで接合箇所の部材や金物の納まりなどを一目で見られるようにすることで、確認しやすくしました。さらに施工時には、三次元モデルを現場で確認しながら進めたことで、短時間かつ高精度な施工を実現することができました。通常であれば現場での手探りの仮組ややり直しが発生する可能性が高い工事ですが、多くの図面データをひとつにまとめた三次元モデルを最大限活用することで、設計・製造・施工の品質と効率を大幅に高めることができました。

また他の事例として、住宅の構造材をすべてCLTパネルで構成するプロジェクトでは、現場が東京都内の狭小地であったため、CLTパネルの現場納品と組立を正確かつタイムリーに行う必要がありました。このスケジューリングについても、三次元モデルを用いて施工手順をシミュレーションすることで、CLTパネルの積込と搬入の順序や一日の現場での動き方を決めることができ、スピーディーかつミスのない工程管理を実現しました。デジタル技術とアナログ作業の融合によって革新的な施工が可能になった好例です。

今後は、さらに生成AIなどの新たな技術も活用しながら、木材業界全体のDXはますます進んでいくでしょう。木材・木造業界においても、こうした技術を積極的に取り入れることで、効率的で高品質な木造建築や木質化が一層進んでいくことが期待されます。社会全体の進歩のスピードは年々速くなっていますが、その流れに取り残されることなく、私たちも変革を続けていく必要があります。
今回の木材活用コンクールが、木材・木造業界におけるDXのさらなる推進につながるきっかけとなれば幸いです。業界の未来を切り拓くような、創意工夫に満ちた多くの優れた作品が応募されることを心より楽しみにしています。
コンクールについての詳細はこちらからWEBページにアクセスしてください。
https://mokusei.net/mkc



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