目次
第1回木材活用コンクール(平成9年度)
応募総数 | 133 | ||
第1部門 | 木造建築・構造物 | 93 | 70% |
第3部門 | エクステリア | 20 | 15% |
第4部門 | インテリア | 20 | 15% |
審査委員会
審査講評
このコンクールは日本木材青壮年団体連合会が新しい木材活用の道を開拓することを狙いとして企画した第一回の試みであった。何分にも初めての事業であり、経済的にも余裕のない苦しい事情にあったので、果たして所期の目的を達成し得るかどうかについて大きな不安があった。
しかし開催してみたところ、予想に反して、応募作品の数は133件(木造建物93件、エクステリア20件、インテリア20件) に及び、質的にも高いレベルの作品が多く、量質共に予想外の成果が得られた。実のところ審査員も事務局も、木材についてこのように広い範囲にわたり、深い関心が持たれていることを知って、驚いた一面のあったことを付記しておきたい。ご協力していただいた方々に、暑くお礼を申し上げる次第である。思うにこの種の試みは、従来なかったといって良かろう。審査委員会としてはこのコンクールを引き続いて開催し、本年に得られた貴重な成果を一層実りあるものにしていただ<ことを、強く望みたい。
審査委員長
小原 二郎
審査員
(敬称略)
[審査委員長]
小原 二郎
千葉工業大学理事・教授 日本インテリア学会会長
[審査委員]
岡 勝男
日本木材青壮年団体連合会・顧問
(財)日本住宅・木材技術センター理事長
東 孝光
千葉工業大学工業テザイン学科教授
上村 武
日本木材青壮年団体連合会・顧問
栗山 正也
KDアトリエ代表
鈴木 龍一郎
日本木材青壮年団体連合会・会長
征矢 隆
木構造振興株式会社
加藤 昌之
日本木青連木材活用コンクール委員会・委員長
最優秀賞
林野庁長官賞
川上村林業総合センター“森の交流館” |
(株)飯田善彦建築工房 |
飯田善彦 |
<作品講評>
この作品は新しい技術を駆使して木材の特性を活かし、従来は見られなかった美しい空間を創り出している。用材には地元産のカラマツを使い、地場産業の経済活性化を目指していることにも注目したい。木造建物のこれからのあり方を示す一例として高く評価する。
優秀賞
(財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
上津江村診療所・保険センター |
黒川哲郎+デザインリーグ |
<作品講評>
繊細で美しい建物が曲線状に並び、周囲の杉山とよく調和している。木造建物を自然と調和させた好例として、この作品を推薦することにした。
なかよし橋 |
(株)復建技術コンサルタント |
<作品講評>
最近、木橋は数多く見られるようになった。この橋は木のぬくもりを生かして環境によく調和している。今回の応募作品の中で木橋がこれ一つであったのは、いささか寂しい。今後応募が増えることを期待したい。
全国木材組合連合会会長賞
能代市立崇徳小学校 |
(有)西方建設、能代山本設計事業(協) |
設計集団環JV |
<作品講評>
木造校舎の伝統的モチーフを生かしながら、地域性、歴史性をふまえて現代的な感覚でまとめた優秀な作品である。用材は地元産の杉とその間伐材で、巧みに杉材の美しさを活かしている。
杉の子椅子:杉の子スツール:杉の子テーブル |
黒川哲郎+デザインリーグ |
<作品講評>
杉材を用い、簡素で清潔感あふれるイスを作ったデザイン力は秀逸である。針葉樹は一般に強度が小さいので、脚物家具には不向きとされているが、その難点を乗り越えた工夫を評価したい。
日本木材青壮年団体連合会会長賞
群馬県立前橋高等養護学校 |
群馬県教育委員会管理課 |
内井昭藏建築設計事務所 |
<作品講評>
地場産のカラマツを使い地域の活性化を計る意図で群馬県教育委員会が推進した木造校舎である。学校建築への用途開発の好例として評価したい。
雪花山房 |
白井晟一研究所 |
<作品講評>
伝統的な木造建築の美しさを現代の商業施設に応用した好例である。施主の味に対するこだわりが、建物にも引き継がれているといえよう。
ニューススタジオ |
(株)日本テレビ美術製作部 |
<作品講評>
テレビスタジオに地場産の木材を使用し、親しみやすさを強調しようとした意図が巧みに成功している。新しい用途開発の着想を評価したい。
部門賞
木造建築
エクステリア
特別賞
技術賞
奨励賞
林野庁林政部林産課課長賞
第1回木材活用コンクールを終えて
第1回の「木造建物・エクステリア・インテリア木材活用コンクール」が関連各位のご指導とご協力により、盛大に開催されましたことを深く感謝申し上げます。
初回より、全国各地より数多くの、しかも幅広い分野の方々からの力作が集まり、審査される先生方も受賞作品の数を絞り込めず多数の受賞となりました。これは本コンクールの目的が新しい木材の需要に道を拓く作品を世間に知らしめ、その関係者を賞賛しようということからです。
受賞作の中には、ハイブリッド技術を生かして今までの木造建築の伝統にチャレンジした作品や、健康問題に新提案した作品、地場産業を生かし、間伐材等の利用拡大を考えた作品など、どの作品をとっても木材への新提案をした作品です。
しかし受賞しなかった作品の中にも独創的な新提案や、木造デザインの新規性を打ち出した作品など数々あり、それらを日の当たるところへ出せなかったのが残念です。今後も引き継がれるこのコンクールに期待をします。
全国の木材に携わる皆様の日頃のご活躍に少しでも、報いることができたらば幸いです。今後とも皆様方のご指導、ご協力そしてご支援を賜りたいと存じます。
平成9年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 加藤 昌之