目次
第7回木材活用コンクール(平成15年度)
応募総数 | 103 | ||
第1部門 | 木造建築・構造物 | 32 | 31% |
第2部門 | 住宅 | 34 | 33% |
第3部門 | エクステリア | 8 | 8% |
第4部門 | インテリア | 19 | 18% |
第5部門 | 木材加工技術 | 10 | 10% |
審査委員会
審査講評
加工機械の向上や工法の改良によって、新しい木材利用の方法が開発されているにもかかわらず、狭い地位この中に埋もれたままで広く知られていないことがしばしばある。このコンクールはそうした隠れた技術に光を当てて一般に紹介し、木材業界の発展に寄与することを目的として設置されたもので、今回は7回目にあたる。
コンクールの部門は従来は4部門であったが、第6回から、「加工技術」を加えて5部門とした。本年の応募数は103件で、昨年とほぽ同数であった。その内訳は、木造建築(32)、住宅(34)、エクステリア(8)、インテリア・家具(19)、加工技術(10)である。これらのうちエクステリアは実際の作品で優秀なものがあると思われるが、それが、応募数に反映していないのは残念であった。
また、木材利用の道を拓くものの1つとしてコンクリート造住宅の中に木を持ち込むスケルトンインフィルの方法がある。いわゆるインテリアの木質化であるが、これも最近は優れた作品例が増えてきているので、その応募にも目を向けて欲しいところである。加工技術については最近多様な製品例が増えてきているので、今後の期待を掛りたいところである。
作品の技術的レベルについて言えば、年を追って向上してきているといってよい。いずれにしてもコンクール担当委員の方々の努力によって100点を超える応募があり、充実した審査ができたことを喜んでいる。木材に対する関心が近年急速に高まってきているので、この追い風に乗って地元の設計事務所や工務店が元気を出し、応募して賞を獲得し、繁栄への道を開拓していただくことを望みたいと思う。
審査委員長
小原 二郎
審査員
(敬称略)
[審査委員長]
小原 二郎
千葉工業大学・理事 日本インテリア学会会長
[審査委員]
東 孝光
大阪大学名誉教授
岡 勝男
日本木材青壮年団体連合会・顧問
(財)日本住宅・木材技術センター理事長
有馬 孝禮
日本木材青壮年団体連合会・顧問
宮崎県木材利用技術センター所長
征矢 隆
木構造振興株式会社・取締役
栗山 正也
KDアトリエ代表
加藤 昌之
株式会社加藤設計・代表取締役
影山 秀樹
日本木材青壮年団体連合会・会長
西下 健治
日本木材青壮年団体連合会・副会長
堀 一彦
日本木青連木材活用コンクール委員会・委員長
最優秀賞
林野庁長官賞
紫波町立上平沢小学校 |
(株)佐川旭建築研究所 |
佐川旭 |
<作品講評>
従来は、学校の建物はコンクリート造が理想的だと信じられていたので、全国にあった木造校舎はほとんど影を消してしまった。木造校舎のよさが見直されたのは最近になってからのことである。この小学校はその1例であるが、特筆すべきは使用した木材はすべて地元産であり、工事に担当したのは地元の匠たちであったことである。地域の人達の誇りとなり、町と人の心をつないだ好例として高く評価し、長官賞に推選した。
優秀賞
(財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
味の店いせや |
守山登建築研究所 |
守山登 |
<作品講評>
この作品は川越市の大正浪漫通りにある和菓子屋で、店舗と住宅兼用の3階建て建物である。この通りにある店舗のほとんどは非木造であるが、和菓子屋として木造のよさを生かそうとした発想を評価したい。特に3階の半円形の屋根と木の梁を網代に組んで、浪漫通りのイメージにあわせようとしたアイデアは面白い。
全国木材組合連合会会長賞
木の集合住宅 |
大西憲司設計工房 |
大西憲司 |
<作品講評>
集合住宅といえばコンクリート造というのが普通の概念だから、木造と言うのは異例といってよい。この作品はコンパクトな空間を巧みに使い分け木によって狭さをやわらげる効果を生かすように工夫している。小規模な木造集合住宅の参考例として評価したい。
日本木材青壮年団体連合会会長賞
鹿沢インフォメーションセンター |
平倉直子建築設計事務所 |
平倉直子 |
<作品講評>
この作品は国立公園内の小高い丘をつなぐ小道に沿って地元産のカラマツを使って待合を作った。周囲の景観に建物を、違和感のない一体のものとして計画した意図は成功している。
第7回木材活用コンクール審査会を終えて
第7回日本木青連木材活用コンクールに多数の作品を応募いただきありがとうこざいました。おかげさまを持ちまして、3月14日(日)の自由学園本審査会は、応募件数103点、相当の力作もみられ、盛況のうちに終了いたしました。
木材は、その自然材として多様な活用が期待されているほか、再生産できる資源でもあり、循環型社会にふさわしい素材です。
今回は地産地消、再生、景観、環境などをテーマとした優秀な作品が多数見受けられ、これからの木材利用の方向への関心の高さを感じました。
今後は、小原審査委員長の御指摘のとおり相当量の木材需用を見込むことのできる「新しい建築的環境」の提案により一層期待したいと思います。最後になりますが、こ協力頂きました林野庁・全木連及び関係各団体をはじめ全国の会員の皆様に御礼を申し上げますとともに、今後のコンクールの発展を期待いたします。
平成15年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 掘 一彦