目次
第13回木材活用コンクール(平成21年度)
応募総数 | 130 | ||
第1部門 | 木造建築・構造物 | 26 | 20% |
第2部門 | 住宅 | 56 | 43% |
第3部門 | エクステリア | 15 | 12% |
第4部門 | インテリア | 31 | 24% |
第5部門 | 木材加工技術 | 2 | 2% |
審査委員会
審査講評
木材の需要拡大と新しい用途の開発を目的とした当コンクールは、本年で13回目を迎えました。ここ数年の応募作品は、数とレベルともに上がってきており、木材の使い方も多様になっています。受賞作品の選出においては、審査員一同大いに頭を悩ませました。
また、構造設計者の関心も、コンクリートや鉄から木へと徐々にではあるが移ってきているのを感じます。木材、特に無垢の木材は、品質管理をしっかりと行い適材適所で使えば、素睛らしい建築構造材料となります。そのことが、これからの木材の活用を伸ばしていく上で大切だと思います。
審査委員長代行
深尾 精一
審査員
[審査委員長代行]
深尾 精一
首都大学東京 都市環境学部 建築都市コース 教授
岸 純夫
東京芸術大学大学 教授
松井 郁夫
株式会社松井郁夫建築設計事務所 代表取締役
久我 洋一
日本木材青壮年団体連合会 平成21年度会長
最優秀賞
林野庁長官賞
西村木材店 倉庫棟 新築工事 |
吉田 桂二 株式会社 連合設計社市谷建築事務所 |
<作品講評>
この作品は、木材店の管理棟と倉庫棟を、大断面の木材や集成材を用いるのではなく、120mm角の 3 m材と4m 材を組み合わせたユニット部材によって構造を組み上げている。また、ユニットは接若剤や特殊な金物は用いず、ボルトのみの接合になっており、解体の際にも木材を資源として有効に使おうという配成がうかがえる。
オーソドックスではあるが、市場流通材を上手に使い、効率の良い施工によってローコストな建物を実現している。特殊な木材を使わないこのような構法が広まれば、日本の林業振興にも寄与するのではないだろうか。
優秀賞
(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
幕張インターナショナルスクール |
宇野 享 株式会社シ-ラカンスアンドアソシエイツ /Can+CAt |
<作品講評>
木造の意欲的にデザインされた学校建築である。近年は自然索材の持つあたたかみや落ち着きといったものが 教育現場で認識されてきた反面、現行の法規制は木質構造に対して多くの規制を設けており「木」という素材の利用を不自由なものにしていると作者は述べている。大規模な木造建築物を造る場合は必ずぶつかる問題であるが、そのような規制をクリアし、あえて木造にこだわり、建築物としてもレベルの高い作品性を実現した力作である。
(一社)全国木材組合連合会会長賞
宇部市 楠こもれびの郷 |
内田 文雄 山口大学大学院理工学研究科 |
<作品講評>
この作品は農業の振興と都市と農村の交流を目指して整備された地域活性化のための施設である。
地元の木材を葉枯らして製材し、地元の建築士と大工が設計・建設に携わっている。継手・仕口といった伝統工法を用い、大きな空間を実現している。また採光や風の流れにも配慮し、木造らしさを実現した作品である。
日本木材防腐工業組合理事長賞
新川人道橋 ~多摩産杉を使った世界一薄い複合橋(SWスラブ橋)~ |
渡辺 治 株式会社 シビル設計コンサルタント |
<作品講評>
鉄板と鉄板の問に木材(地元多摩産の杉間伐材)を挟んだ、新しい考え方のハイブリッド構造である。鉄の強さと杉の軽さが活かされた軽快な作品に仕上がっている。将来のメンテナンスや耐久性については見守っていく必要があるが、意欲的な作品である。
日本木材青壮年団体連合会会長賞
木壁柱の家 |
眞田 大輔 有限会社 すわ製作所 |
<作品講評>
副題に木材使用3倍の家とある。日木の国土の7割は森林で、東京でも4割が森であり、その多くが人工林であるが、人工林は伐採、植林などの管理を続けなければ健康な状態を保てない。日木の人工林は成熟してきており、それをいかに利用するかが課題である。
それに対し、作者が採用したのが「杉壁柱工法」である。横造材として4寸角と3寸角の手に入りやすい寸法の柱を組み合わせており、それが壁面を作り出している。これにより一般的な木造在来工法に比べて、3倍の木材使用量を実現している
木をたくさん使うことは炭素の固定化につながり、本年度の日本木青連のスローガンでもある「木材を通じて実現する低炭索社会への挑戦」にも通ずるものがある。
部門賞
第1部門賞(木造建築・構造物)
綾瀬の弓道場 |
東 泰規 株式会社 坂倉建築研究所 |
第2部門賞(一般住宅)
流星庵 |
杉本洋文 株式会社計画・環境建築 |
SU |
田口 喜章 スズメバチ |
第3部門賞(エクステリア)
YUFUTOKU RESTAURANT |
ベラ・ジュン、宮内智久 株式会社 ISSHO建築設計事務所 |
第4部門賞(インテリア・家具)
川湯温泉 冨士屋旅館 客室 ほたる |
武田 憲昭、吉澤 生馬 PROCESS5 DESIGN |
第5部門賞(新しい木材加工技術)
該当作品なし |
特別賞
紫波町立星山小学校 |
佐川 旭 株式会社佐川旭建築設計事務所 |
芦北町 地域資源活用総合交流促進施設 |
芦北町 芦北町役場 |
高橋晶子+高橋寛 有限会社 ワークステーション |
月瞑庵 |
三澤 栄正 有限会社 TEAMWORKS |
サンブスギの家具 |
伊藤 博之 |
伊藤博之建築設計事務所/O.F.D.A. |
木具プロジェクト「KaDoKaDo」 |
目時 亮 一級建築士事務所MTKarchitects |
奨励賞
三連木造橋 |
定成 政憲 職業能力開発総合大学校東京校 |
眉山の家 |
吉田 周一郎 吉田周一郎建築設計 |
K-house |
島田 潤 株式会社 デザインネットワーク |
里の香り |
石原 久三郎 有限会社 石原計画設計 |
SUMICA |
江口 倫子 滋賀県立大学 |
第13回木材活用コンクール審査会を終えて
今回で13回目を迎えた当コンクールには130点の応募があり、その内訳は第1部門が26点、第2部門56点、第3部門15点、第4部門31点、第5部門2点という内容でした。第5部門(新しい木材加工)への応募が少なかったのは少々残念でした。木材の新しい用途は日々開発されているはずであり、我々の周知が足らなかったものと反省する次第です。
しかし、今回もレベルの高い多くの作品が出展されたことで「木」が日本人から愛されていることを再認識しました。木材で食べさせてもらっている者として大変心強く思います。最後に審査委員の先生方を始め関係者の皆様には多大なるご協力をいただき誡にありがとうございました。
平成21年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 木谷 勝浩