目次
第17回木材活用コンクール(平成25年度)
応募総数 | 111 | ||
第1部門 | 木造建築 | 32 | 29% |
第2部門 | 木質空間 | 21 | 19% |
第3部門 | 一般住宅 | 38 | 34% |
第4部門 | ランドスケープ・インスタレーション | 6 | 5% |
第5部門 | 木製品 | 14 | 13% |
審査委員会
審査講評
大規模な木造建築の分野に様々な動きが見られる中で、第17回目の木材活用コンクールが行われ、今年も多くの優れた作品に応募していただきました。今回から、国土交通大臣賞も加わり、それぞれの賞に相応しい建築が選ばれたと思います。新たな架構の工夫や木造建築の不燃化の試みなど、これからの木材活用に参考となる作品が数多くありました。外装に大胆に木材を用いた事例なども、今回の特徴かもしれません。また、日本木材青壮年団体連合会の会員の皆様が選定するという会員特別賞も、新たな試みでしたが、成功であったと思います。
審査結果ですが、第一部門の、木造及び混構造建築物と、第二部門の木質空間では 、今年もまた、多くの意欲的な作品に応募していただきました。木材の活用普及に貢献する作品もかなりありました。私の個人的な印象ですが、木材はもともと線状の材料ですが、今年は、特にその特徴を活かした作品が多かったように感じております。
第三部門の一般住宅では、全体的に申し上げますと、残念ながら今年も、あまり目新しい木材活用をしたものはありませんでした。そのなかで、選ばれた作品は、すがすがしいデザインの気持ちの良い住いとなっております。なお、この「一般住宅」という部門の名称に関しましては、来年度から見直すことになりそうです。来年は、より多くの意欲的な住宅の応募を望みたいと思います。
第四部門の、ランドスケープ、インスタレーシヨンは、応募作品が少なかったのですが、いずれも、木材の使い方として、意欲的な作品でした。
第五部門の、木製品の部門は、意表をつくような作品もあり、バラエティに富んだものの中から作品を選びだすのは難しいけれども楽しい審査でした。
五つの部門の中から、厳正に審査を行った結果、農林水産大臣賞と国土交通大臣賞をはじめ、20の作品を入賞作品としました。今回も、木材活用コンクールらしい作品を選び出すことができたと考えております。
審査委員長
深尾 精一
審査員
(敬称略)
[審査委員長]
深尾 精一
首都大学東京 名誉教授
[審査委員]
有馬 孝禮
東京大学 名誉教授
加藤 昌之
株式会社加藤設計 代表取締役
岸 純夫
中川 誠一
(一社)日本インテリアプランナー協会 顧問
株式会社ネクスト・エム 代表取締役
松井 郁夫
株式会社松井郁夫建築設計事務所 代表取締役
藤田 香織
木脇 桂太郎
日本木材青壮年団体連合会 会長
下荒 隆晴
日本木材青壮年団体連合会 木質開拓委員会 委員長
最優秀賞
農林水産大臣賞
群馬県農業技術センター |
日野 雅司 栃澤 麻利 安原 幹 |
株式会社 SALHAUS |
<詳細資料> |
<作品講評>
大胆なハイブリット構造にも関わらず、大断面の集成材を使うのではなく、丸太の最大寸法に合わせた小断面の4m材を使用して、新しいデザインにも挑戦した農業施設である。
国土交通大臣賞
都市の中の森 -大阪木材仲買会館- |
白波瀬 智幸 興津 俊宏 |
株式会社 竹中工務店 |
<詳細資料> |
<作品講評>
都市の防火地域のオフィスビルにも関わらず、防火集成材を使用することにより、防火地域であっても、ふんだんに木材を使用されており、耐火集成材開発技術の進展を世間に象徴する建造物である。
優秀賞
林野庁長官賞
JST NEW OFFICE BUILDING/木のオフィスビル |
岸下 真理(代表者)+共同設計者+所有者+施工者 |
Atelier KISHISHITA+Man*go design+日本圧着端子製造株式会社+鹿島建設株式会社 |
<作品講評>
都市部における木材利用という点で、4寸角の材料を大胆に格子状に外壁材になっており、とてもインパクトのある外観に仕上ったオフィスである。
(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
北沢建築 工場 |
三澤 文子 |
Ms建築設計事務所/MSD |
<作品講評>
工場は鉄骨で美しく作るという概念を払拭するかのように、直線材で曲線を描きそれを格子状で表現することによって、鉄骨では表現できない美しさを表現した工場である。
(一社)全国木材組合連合会会長賞
鏡野公園バス停 |
吉田 晋 |
高知工科大学 システム工学群 建築・都市デザイン専攻 |
<作品講評>
普段は殺風景なバス停に、木を格子状にしたデザイン性の高い建物を作ることによって、存在感のあるバス停となっている。今後このようなバス停が全国的に広がることを期待する。
(一社)日本インテリアプランナー協会賞
継承する旅宿/YUMEGOKOCHI |
大野 鶴夫+酒井 善史 |
一級建築士事務所 大野アトリエ |
<作品講評>
高齢化が進む世の中で建物のリノベーションが重要視されるので、古民家を再生していくには、インテリアが重要視される。本作品では、リフォームだけではなく多数の優れたインテリアが目立った作品であった。
日本木材青壮年団体連合会会長賞 「ブレイクスルー賞」
山鹿市立山鹿小学校 |
工藤和美+堀場弘 |
シーラカンスK&H株式会社 |
<作品講評>
学校は子供たちの生活の場なので、そんな学校で地場産の木をうまく活かすことによって、木の暖かみ、安らぎを子供達に教えられることから、『木育」という言葉に当てはまる作品である。
木質開拓賞
日本木材青壮年団体連合会 会員特別賞
風の音 |
芦澤 竜一 |
芦澤竜一建築設計事務所 |
<作品講評>
デザイン性に特化しており、また風が通り抜けると音が鳴る構造であり、非常に興味深いチャペルである。
部門賞
第1部門賞
オガールプラザ |
松永 安光 |
株式会社 近代建築研究所 |
<作品講評>
大断面材を使用するのではなく、中断面材の既製品の材料を組み合わせたラーメンで構造された構造物である。
第2部門賞
大阪信愛女学院 食堂リフォーム「自然・木・心地よい居場所」 |
西濱 浩次 |
コンパス建築工 |
<作品講評>
学生の集いの場である、学食に木材を取り入れ、またオブジェの木口には、生徒の顔が描かれているユーモアあふれる作品である。
第3部門賞
Dragon Court Village |
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英佑 |
Eureka |
<作品講評>
木造の集合住宅とは珍しく、また間取り的にも個々のスペースがあり、一度は住んでみたくなる作品であった。
第4部門賞
MORI TRUST GARDEN TORA4 |
平田 晃久+酒向 昇 |
株式会社平田晃久建築設計事務所+株式会社竹中工務店 |
<作品講評>
デザインも可愛らしく、またその場所に合わせた配置など柔軟性に優れていて、木材製品の普及に繋がる作品である。
第5部門賞
森の茶室 |
広谷 純弘+東京理科大学ブロックシステム研究会 |
株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ
+東京理科大学ブロックシステム研究会 |
<作品講評>
学生が手がけた作品で、機能性にも特化しており、木の美しさや、ぬくもりの伝わる作品である。
特別賞
地域活性化特別賞
佐賀平野に無数に広がるクリークの整備 |
佐賀県木材協会 |
木質構造特別賞
野菜倶楽部 oto no ha Cafe |
比留間 基晃 |
鹿島建設株式会社 |
木質空間特別賞
阿蘇くまもと空港 国内線ターミナルビル |
駒崎 照雄 |
熊本空港ビルディング株式会社 |
木質改修特別賞
額装の家 |
塩田有紀 |
塩田有紀建築設計事務所 |
木材活用特別賞
杉木立のアトリエ |
塩田有紀 |
塩田有紀建築設計事務所 |
西向きの家 |
髙砂 正弘 |
和歌山大学・髙砂建築事務所 |
木格子の家 |
甲村 健一 |
KEN一級建築士事務所 |
第17回木材活用コンクール あいさつ
日本木材青壮年団体連合会が主催として創設されました「木材活用コンクール」も今回で17回目を迎えました。木材の新しい用途での普及と木材の利用拡大に貢献することを目的として、大規模建築物から一般住宅、木製品にいたる5部門に対して、今回は111作品の応募を頂きました。全国各地より木の良さを活かされた作品に多数の応募をいただき、コンクールにご協力いただいた多くに方々に感謝するとともに、着実に「木材活用コンクール」が多くの皆様に認知していただいていると確信しております。
木材の利用推進に対してより多くの方々への発信を期待して、国土交通省からのご協力によって新たに「国土交通大臣賞」をいただき、「晨林水産大臣賞」とともに最優秀員2作品を含めて20作品の受賞作品を選出させていただきました。また、今回のコンクールでは、日本木材青壮年団体連合会会員メンバー8 0 0 名あまりの方々の投票により選ばれた「木質開拓賞」を新しく創設することにより、「木材活用コンクール」に木青連会員の多くの方に関心を持ち、新しい発見をしていただくことに大きな成果を感じました。
今回の「第17回木材活用コンクール」を開催するにあたり、後援、協賛をいただきました各種団体・企業の皆様、厳正に審査していただいた深尾審査委員長を始めとする審査員の皆様、そして全国各地の木青連会員の皆様、その他多くの方々に多大なるご支援、ご協力に心より感謝申し上げます。また、私自身も日本木材青壮年団体連合会の代表的な事業である「木材活用コンクール」の担当委員長として、貴重な経験と全国各地の多くの方々と出会う機会をいただいた木脇会長を始めとする執行部の皆様に改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
平成25年度日本木材青壮年団体連合会
木質開拓委員会 委員長 下荒 隆晴