第2回木材活用コンクール(平成10年度)

応募総数 87
第1部門 木造建築・構造物 66 76%
第3部門 エクステリア 7 8%
第4部門 インテリア 14 16%

審査委員会

審査講評

 このコンクールは日本木材青壮年団体連合会が、新しい木材活用の道を開拓することを狙いとして企画したもので、今回は2回目の募集である。本年度の応募作品の数は87点で昨年度に比べて減少したが、質的には高いレベルの作品が多く、このコンクールの目的に順調に近づきつつあることを思わせるものがあった。応募作品の内訳についていえば、建築及び住宅部門はほぼ昨年並みの数と質とを維持したが、エクステリア部門とインテリア部門は数が少なく、内容もやや活気に乏しかった。しかし実際の場を見ると、遊園地などの普及でさまざまなエクステリア作品が増えているし、また自然復帰の風潮にともなって、昨今はインテリアにも優秀な作品が多く作られていると思われるので、今後はこの方面から応募するように力を注いでいただくことを望みたいと思う。
 なお、今回の審査にあたって特に気のついたことの2点を付記しておきたい。一つは、受賞作品の数は22点であったが、その地域を見ると広く分布していて、木材活用の試みが全国的に浸透していると思われたこと。もう一つは、近畿地方からの応募が多く、入賞も上位を占めて活気があったことであった。
 終わりに、これまでの2回の実施で得られた成果をさらにいっそう発展させて、このコンクールの目的をできるだけ早く達成していただくことを強く望みたい。

審査委員長
小原 二郎

審査員

(敬称略)
[審査委員長]

小原 二郎
千葉工業大学・理事 日本インテリア学会会長

[審査委員]

岡 勝男
(財)日本住宅・木材技術センター理事長

東 孝光
千葉工業大学工業テザイン学科教授

上村 武
日本木材青壮年団体連合会・顧問

栗山 正也
KDアトリエ代表 日本インテリアプランナー協会常務理事

榎戸 正人
日本木材青壮年団体連合会・会長

征矢 隆
木構造振興株式会社・専務取締役

江守 淳一
日本木青連木材活用コンクール委員会・委員長

最優秀賞

林野庁長官賞

no02_01
社会福祉法人 飛鳥学院保育所
(株)アルセッド建築研究所
 代表取締役 三井所清典

<作品講評>
本作品は、既存の建物に増築したものであるが、増設部分と大和屋根を巧みに組みあわせ、それが周囲の環境によく調和している。内部には大断面集成材を使用したが、よく和風の雰囲気を醸し出し、また新しいラーメン加工の技術と伝統工法との組み合わせにも成功している。広いひさしに覆われた広縁を木に囲まれた子供の遊びの空問とし、計画も秀逸である。なお、福祉政策に貢献している点も推薦に値するところである。

優秀賞

(財)日本住宅・木材技術センター理事長賞

no02_02
睦月神事会館
(株)遠藤秀平建築研究所
 遠藤秀平

<作品講評>
伝統芸能の保存に役立てるとともに、日常の町民の集会場としても使用できるように設計された建物である。杉の端材を天井のルーバーに使い、ヒノキで床を張った空間の構成も巧みである。

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津和野郵便局 ~環境にやさしい郵便局~
中国郵政局建設部
 津和野郵便局

<作品講評>
山陰の小京都津和野町の町並みを配慮して建てられた郵便局である。柱に地元の杉と桧を、また梁に松を使い、インテリアの構成も巧みである。また床に線路の枕木を転用するなど、木材の利用にも細かい工夫が見られる。

no02_04
寺内町の家
(有)ネオジオ
横関正人

<作品講評>
寺内町は伝統的建造物の保存地区に指定されているが、外観をその町並みに調和させながら、インテリアは新しい住まい方に対応するようにエ夫されている。また地元の木材を規格化して提供する試みがなされている点も評価したい。

全国木材組合連合会会長賞

no02_05
夙川の家
無有建築工房
竹原義二

<作品講評>
この作品は、細長くて奥行きの深い敷地に、坪庭を取り入れた町家風の住宅である。三本の柱は偏平な板をボルトで緊結した壁柱で、構造の面で新しい工夫を取り入れた点を高く評価した。インテリアには、木の良さが生かされており、今後の木造住宅のあり方の一例を示すものと言ってよかろう。

no02_06
玉出
空間工房
丹田悦雄

<作品講評>
建物の用途はパチンコ店であるから、本来ならケバケバしい遊技場になるはずであったろうが、木造にすることにより、落ち着いた温かみのある建物に変身させることに成功している。立地は伊賀上野町で、町並みに溶け込むように工夫したアイデアも秀逸である。ディテールの処理も巧みである。

日本木材青壮年団体連合会会長賞

豊里中学校体育館柔剣道場改築工事
(株)中山設計事務所

 

no02_08
谷口建設社屋新築工事
-Architect Office- Strayt Sheep
 長村寛行

 

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木材会館
(有)山本了一建築事務所
山本了一

 

第2回木材活用コンクール審査会を終えて

 木材活用コンクールも後援団体・審査員の皆様方をはじめ多くの方々のご協力により第二回を迎えさせていただき、心より感謝申し上げます。
 今回の木材活用コンクールの応募作品を分析してみると、建築部門においては、中・大型建築物が22作品、住宅が44作品、エクステリア部門が7作品、インテリア部門が14作品で計87作品となりました。昨年と比べてエクステリア・インテリア部門がやや減り、次回に課題を残したところが有りますか、内容を見るとかなりの力作が集まり、本当にレベルの高いコンクールになっていたと思われます。全国で様々な試みがなされていることに心より敬意を表するとともに、我々木材産業に携わるものに対し、多くのヒントと啓蒙を与えていただき、このコンクールの意義を今更ながら痛切に実惑している次第です。
 最後になりましたが、ご尽力いただいた各地区長はじめ県会団長の皆様方に御礼を申し上げ、次年度へのこのコンクールの引継ぎを宜しくお願い申し上げます。

平成10年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 江守 淳一