目次
第26回木材活用コンクール(令和4年度)
応募総数 | 170 | ||
第1部門 | 木造及び混構造建築(構造物)300 ㎡超え | 48 | 28% |
第2部門 | 木造及び混構造建築(構造物)300 ㎡以下 | 56 | 33% |
第3部門 | 木質空間(インテリア・エクステリアの木質化) | 31 | 18% |
第4部門 | クリエティブユース(1~3部門以外の創造的木材活用事例<ランドスケープ・インスタレーション・家具・木製品など>) | 35 | 21% |
審査委員会
審査総評
第26回木材活用コンクールは、昨年より大幅に増加し、170件の作品に応募して頂きました。
新型コロナウィルス感染症やウッドショックの影響を乗り越え、多くの応募があったことは素晴らしいことでした。応募の内訳は、第一部門48作品、第二部門56作品、第三部門31作品、第四部門35作品となりました。26回を数える歴史あるコンクールに相応しい、優れた作品が応募されていました。
農林水産大臣賞を受賞した「Port Plus」は、最新の木造技術を駆使した11階建ての木造耐火建築物であり、新たな木材活用が脱炭素社会の実現に大きく貢献するという事例の典型と言えるでしょう。国土交通大臣賞には、高層のホテルを木材活用によって実現した「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」が選ばれました。
このほか、構造材として多様な木材を活用した「流山市立おおぐろの森中学校」、木材を活用しておおらかな空間を創り出した「シェルターインクルーシブプレイス コパル」、大径木製材を活用した「バウマイスターの家」など、合わせて20件を受賞作品として選ぶことができましたが、選外となった作品にも優れたものが多く、審査員を悩ませるコンクールでもありました。
また今回は、令和4年度日本木材青壮年団体連合会のスローガン「ともに」をテーマにした「木材共生賞」を設けましたが、天草のヒノキ間伐材から作る木糸を使用したユニフォームの試作が、衣類という身近なものへの木材利用という観点で受賞に至りました。日本木材青壮年団体連合会会員の皆様に選んでいただく木質開拓賞には「Port Plus」が選ばれ、農林水産大臣賞とのダブル受賞となりました。
受賞作品の第一部門から第四部門までの内訳は、9・6・2・3作品となり、応募数が大きく増えた第二部門の住宅・小規模建築が健闘しました。第三・第四部門もレベルの高い応募作品が増えています。また今回の応募には、木材活用を実現するための「取り組みや活動」が複数ありました。審査委員会としては、このような活動を評価する賞や部門があってもよいのではないかと思います。今後も、よりレベルの高い作品が多数応募されることを期待いたします。
審査委員長
深尾 精一
審査員
(敬称略)
[審査委員長]
深尾 精一
首都大学東京(現 東京都立大学)名誉教授
[審査委員]
有馬 孝禮
東京大学 名誉教授
加藤 昌之
株式会社 加藤設計 代表取締役
古久保 英嗣
(公財)日本住宅・木材技術センター 理事長
霜野 隆
(一社)日本インテリアプランナー協会 顧問
松井 郁夫
株式会社 松井郁夫建築設計事務所 代表取締役
藤田 香織
東京大学大学院 教授
土居 隆行
林野庁 木材産業課 木材製品技術室長
石井 秀明
国土交通省 住宅局 住宅生産課 木造住宅振興室長
川井 博貴
日本木材青壮年団体連合会 会長
砂田 雄太郎
日本木材青壮年団体連合会 副会長
最優秀賞
農林水産大臣賞
Port Plus 大林組横浜研修所 |
株式会社大林組 |
<作品講評>
11階建ての本格的純木造耐火建築物。その先進的な木材活用と脱炭素への取り組みにより、現在の日本の状況を代表する木造建築物であると高く評価できる。
国土交通大臣賞
ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園 |
三菱地所株式会社 株式会社三菱地所設計 |
<作品講評>
CLTを活用した高層ハイブリッド構造のホテル。トドマツなど地元の木材をCLTとして利用し、居住性に工夫を施した点も高く評価できる。
優秀賞
林野庁長官賞
流山市立おおぐろの森中学校 |
流山市 株式会社日本設計 株式会社奥村組 |
<作品講評>
木の温もりを体感できる木材を多量に活用した学校校舎。多くの地域産材を活用し、多様な用い方で木の優しさと明るさを表現した点が評価できる。
(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
シェルターインクルーシブプレイス コパル(山形市南部児童遊戯施設) |
山形市 大西麻貴+百田有希/o+h 株式会社シェルター |
<作品講評>
滑らかな曲面屋根と空間の作り方が素晴らしい地域のための施設。建築のコンセプトにもとづき、木の優しさを体感できる建築である。
(一社)全国木材組合連合会会長賞
バウマイスターの家 |
網野禎昭 株式会社平成建設 株式会社宮田構造設計事務所 二宮木材株式会社 株式会社長谷川萬治商店 |
<作品講評>
木材業界の川上から川下までが関与できるよう、それぞれの未来を意識した木造住宅。大径木製材を活用した、特筆すべき設計事例である。
(一社)日本インテリアプランナー協会賞
渋谷パルコ Digital Garage ”Pangaea” |
株式会社竹中工務店+Snøhetta |
<作品講評>
立体曲面加工技術を用いたデザインのソファー。一般的な4寸角の製材を用いながら、木材加工の新たな可能性を追求している。
日本木材青壮年団体連合会会長賞
OYAKI FARM BY IROHADO |
有限会社いろは堂 遠野未来建築事務所 株式会社フリーザーシステム 株式会社守谷商会 有限会社寺島工務店 |
<作品講評>
全体のデザインと木材使用のバランスが素晴らしい建築。木材を活用することにより、建築と景観の一体感を生み出している。
特別賞
木材共生賞
天草ヒノキを原料とした 「緑の少年団」の試作ユニフォーム |
株式会社Circulife |
<作品講評>
ヒノキを原料にした木糸を利用した衣服。より身近で人の営みに寄りそう、木材活用の新たな可能性が示されている。
部門賞
第1部門賞
茨城県大子町新庁舎 |
株式会社遠藤克彦建築研究所 |
<作品講評>
樹状の特長的な木架構を用いた庁舎建築。表しにされた多くの木材が、地域のための建築にふさわしいと感じられる。
第2部門賞
星野神社 覆殿・本殿(愛知県豊川市市指定文化財) |
株式会社望月工務店/望月建築設計室 |
<作品講評>
伝統と歴史を感じる荘厳な建築のための木材を用いた覆い屋。受け継がれてきた高い技術と、それを引き継いでいく強い意志が感じられる。
第3部門賞
裏草津 蕩 TOU |
有限会社 高階澄人建築事務所 株式会社 禅 |
<作品講評>
およそ60年前の建築物をフルリノベーションした宿泊施設。既存の躯体に木材を多用に付加することによる繊細なデザインが評価された。
第4部門賞
Global Bowl |
東京都 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 パビリオン・トウキョウ2021実行委員会 ワタリウム美術館 平田晃久建築設計事務所 株式会社シェルター |
<作品講評>
大型で自由な形状を生み出している木材によるオブジェクト。集成材を3Dカットする高い加工技術と、それにより実現可能なスケールを示した作品。
木質開拓賞(日本木材青壮年団体連合会会員賞)
Port Plus 大林組横浜研修所 |
株式会社大林組 |
<作品講評>
11階建ての本格的純木造耐火建築物。その先進的な木材活用と脱炭素への取り組みにより、現在の日本の状況を代表する木造建築物であると高く評価できる。
※「木質開拓賞」について
日本木材青壮年団体連合会 会員約800名による投票によって決定。
審査会より事前に投票を行っており、審査会当日その他賞と重複した場合はその賞とのW受賞とする。
木材活用賞
TDテラス宇都宮 |
第一生命保険株式会社 東邦銀行株式会社 清水建設株式会社 |
<作品講評>
地域材と地場職人による木造ハイブリッド中高層建築。地産地消を強く意識し、新たな部材開発などの木材活用に取り組んだ事例である。
清水建設北陸支店新社屋 |
清水建設株式会社 |
<作品講評>
先進的な木材活用が行われた事務所建築。木材を適切に活用することにより、大空間を生み出し、快適なオフィス空間を実現している。
上智大学四谷キャンパス15号館 |
学校法人上智学院 住友林業株式会社 |
<作品講評>
外装と内装にふんだんに木材活用した建築。大小様々なサイズの木材を活かしたデザインが評価できる。
Modellazione legno |
甲村木材株式会社 株式会社鍜治田工務店 |
<作品講評>
CLTと地場産材を使用した木造事務所。木材活用によるサステナビリティと、地場産材による魅力的な空間を体現している。
東林間のアパート |
合同会社ココト 合同会社円酒構造設計 株式会社幹建設 株式会社プリズミック |
<作品講評>
木材を身近に感じる木造アパート建築。木材活用による市松状のファサードの意匠性と、集合住宅に必要な構造・機能を両立している。
森の端オフィス |
飛騨の森でクマは踊る+ツバメアーキテクツ+チドリスタジオ |
<作品講評>
木と共に仕事が出来る半地下型のオフィス建築。広葉樹材を活用して、魅力的なトラス構造を空間に活かしている。
東根の家 |
鍋野友哉アトリエ ホルツストラ |
<作品講評>
集成材と合板を用いた木質レシプロカル構造の住宅。特徴的な木質構造を室内に表すことにより、魅力的な空間を作り出している。
名古屋ビルディング桜館 |
名古屋ビルディング株式会社 株式会社日建設計 清水建設株式会社 |
<作品講評>
木材によるルーバーをドレープ状に配置した内装。高樹齢の木材を多く活用し、曲線の美しさを表現している。