第29回木材活用コンクール 受賞作品

第29回木材活用コンクール(令和7年度)

応募総数 217
A-1部門 木造(混構造も可)または内外装木質化を実施した建築物(延床面積300㎡以上) 68 31%
A-2部門 木造(混構造も可)または内外装木質化を実施した建築物(延床面積300㎡未満) 53 24%
B-1部門 木製品(家具、玩具、建具、遊具など。木材の部分的利用も可) 45 21%
B-2部門 木材活用プロジェクト(国産材の需要拡大や高付加価値化に向けたソフト事業) 51 24%

審査委員会

審査総評

29回木材活用コンクールは、昨年より大幅に増加した200件を超える作品に応募して頂きました。その内容は極めてレベルが高く、木材の活用に関する関心がますます高まっていることを感じさせます。

今回は、募集の部門を大きく改め、混構造を含む木造、または内外装木質化を実施した建築物の、延床面積300㎡以上のA-1部門と、延床面積300㎡未満のA-2部門、そして、家具、玩具、建具、遊具などの木製品のB-1部門に加えて、木材活用プロジェクト(国産材の需要拡大や高付加価値化に向けたソフト事業)という新たなB-2部門の4部門の構成としました。昨年は第一部門と第二部門のグループと、第三部門と第四部門のグループに分けて審査を行い、第三・第四部門には新たな審査員に参加していただきましたが、今回は旧第一部門・第二部門の審査員もかなりの方が交代し、審査は全体で行いました。応募の内訳は、A-1部門68作品、A-2部門53作品、B-1部門45作品、B-2部門51作品となりました。新しいB-2部門にも、多くのすぐれたプロジェクトに応募いただき、主催者側としても嬉しい結果となりました。

受賞作品の内訳は、A-1部門11作品、A-2部門4作品、B-1部門5作品、B-2部門4作品という、計24の優れた作品となりました。各部門の受賞作品数は、部門構成が変わったものの、昨年の比率に近いものとなりました。A-1部門には、ますます際立った木質構造の作品が応募されるようになり、最優秀賞の二つの大臣賞は、今回もA-1部門から選ばれることになりました。

農林水産大臣賞を受賞した「エアー・ウオーターの森」は、木材を活用した新たな構造計画により、魅力的な空間を創出していることが高く評価されました。また、国土交通大臣賞を受賞した「パッシブタウン第5街区」も、豊富に木材を活用した環境に溶け込んだ共同住宅を実現していることが高く評価されました。また、木材青壮年団体連合会の会員の方々に選んでいただく「木材開拓賞」は、昨年に引き続き、単独受賞となりました。

今後も、木材活用コンクールに、より高いレベルの作品が多数応募されることを期待いたします。

審査委員長
深尾 精一

審査員

(敬称略)
[審査委員長]

深尾 精一
首都大学東京(現 東京都立大学)名誉教授

[審査委員]
(50音順)

秋吉 浩気
VUILD株式会社 代表取締役CEO

池田 靖史
東京大学 工学系研究科建築学専攻 特任教授・建築情報学会 会長

大島 敦仁
国土交通省 住宅局 住宅生産課 木造住宅振興室長

大西 麻貴
大西麻貴+百田有希/o+h 共同主宰・横浜国立大学大学院 教授

川原 聡
林野庁 木材産業課 木材製品技術室長

霜野 隆
(一社)日本インテリアプランナー協会 顧問

竹村 優里佳
Yurica Design & Architecture 代表取締役

中島 史郎
宇都宮大学 地域デザイン科学部 建築都市デザイン学科 教授

長谷川 泰治
日本木材青壮年団体連合会 会長

宮澤 俊輔
(公財)日本住宅・木材技術センター 理事長

安成 信次
一般社団法人 JBN・全国工務店協会 会長

山代 悟
ビルディングランドスケープ 共同主宰・芝浦工業大学 建築学部 建築学科 教授

若杉 浩一
武蔵野美術大学 造形構想学部 教授

最優秀賞

農林水産大臣賞

エア・ウォーターの森
<A-1部門>
株式会社竹中工務店
高嶋 一穂
垣田 淳
金田 崇興
山崎 僚平
中澤 秀太

<作品講評>
木材を斜材として用いることにより、鉛直・水平の両荷重に対応させる構造計画を採用し、魅力的な木を感じる吹抜け空間を創り出すなど、新たな木材活用の道を切り開いていることが高く評価された。

国土交通大臣賞

パッシブタウン第5街区
<A-1部門>
YKK不動産株式会社
Hermann Kaufmann Architekten
株式会社竹中工務店

<作品講評>
耐火構造が要求される6階建ての共同住宅に、豊富に木材を使用し、様々な先端技術を適用するとともに、公園と一体となった気持ちの良い街区を構成するなど、高度な設計手法が高く評価された。

優秀賞

林野庁長官賞


石田梅岩記念館
<A-2部門>
亀岡市
塩田有紀建築設計事務所
株式会社藤尾建築構造設計事務所
栄・関西・丸正特定建設工事共同企業体
株式会社美馬工業所
有限会社中島電設

<作品講評>
木材を束ねて木の塊の桁を構成し、天井面を顕しとするなど、木材の用い方や表現の仕方に随所に工夫が見られる設計密度の高い魅力的な建築作品である。

林野庁長官賞


山のダイゴミ・プロジェクト
<B-2部門>
山のダイゴミ・プロジェクト協議会 会長 川添 恵作

<作品講評>

地域の木材を活用するために様々な立場の人々・組織が結成した協議会であり、森林県の地域としての取り組みは高く評価できる。今回新設された「国産材の需要拡大や高付加価値化に向けたソフト事業」というB-2部門に相応しい活動である。

(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞


奥村組 西川口寮
<A-1部門>
株式会社奥村組
株式会社シェルター

<作品講評>
中間階免震層を挟むRC造の上に7層の寮を実現した計画で、CLTの耐震壁を顕しにするなど、様々な木材活用技術に挑戦した意欲的な作品である。

(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞


サーキュラー木造温室
<B-2部門>
株式会社XENCE

<作品講評>
台形の未利用材を活用した木材による農業用温室の採用が、地域における様々な循環を促すというサーキュラーデザインの提案であり、運動として評価できる。

(一社)全国木材組合連合会会長賞


第一生命京橋キノテラス
<A-1部門>
第一生命保険株式会社
清水建設株式会社
清水建設・日本建設共同企業体

<作品講評>
都心のオフィスビルの木質化に挑戦した意欲的な建築である。視認性の高い部位への重点的な配置や、木質感にあふれたオフィス空間、そしてファサードの扱いなどが優れている。

(一社)全国木材組合連合会会長賞


DLTエイジングウッド
<B-1部門>
中国木材株式会社 代表取締役 堀川 保彦

<作品講評>
木材を人工乾燥する際に用いられる桟木を、DLTの手法によって積層木材化することによって再利用を図る提案である。テーブルなどへの用い方が魅力的である。

(一社)日本インテリアプランナー協会賞


ミリカの木
ーまちの木を積み、歴史を紡ぐー
<B-1部門>
株式会社 古森弘一建築設計事務所
古森 弘一
橋迫 弘平
穴井 健一
東京電機大学 笹谷研究室
有限会社 杉岡製材所

<作品講評>
音楽ホールや図書館などの複合施設のリノベーションの際に設置された低温乾燥の地域材を用いたシンボル的な空間要素である。大きな空間の構築要素として優れた提案となっている。

(一社)JBN・全国工務店協会会長賞 


サンケン御徒町BLD
<A-2部門>
佐藤千弘建築設計事務所
DESIGNWORKS LLC
株式会社シェルター

<作品講評>
都心の駅前の防火地域に建つ狭小ビルの純木造による建て替えである。木造住宅の建設に慣れた工務店が施工しやすいように様々な工夫を凝らし、街並みから木を認識できる建築となっている。

日本木材青壮年団体連合会会長賞 


美郷町カヌー艇庫
カヌーパークみさと カヌーレIMAI
<A-1部門>
島根県美郷町
STUDIO YY
中本 剛志
田中 裕一
山田憲明構造設計事務所
山田 憲明

<作品講評>
カヌーの艇庫という特殊な建築を、木材の魅力を十分に感じさせる架構形態で実現した意欲的な建築である。バリ島の伝統的な建築との連携活動も興味深い。

日本木材青壮年団体連合会会長賞 


TREE CORE~杉丸太の応接机~
<B-1部門>
田辺工業株式会社 田邉 喜範

<作品講評>
大径木のスギ丸太から切り出した応接机である。なかなか活用しにくい素材を印象に残る使い方で活用しようとする試みが評価できる

特別賞

DX賞

4階ラウンジエリア。レシプロカル構造の耐火木造大屋根による無柱架構。光、風、木、緑に満たされるウエルネスな空間を創出。

北側外観。ダブルスキンとサクラファサードによる外装デザイン。幸手市のシンボルであるサクラをモチーフとして、日射遮蔽、構造応力、視認性を多目的解析し、4万通りのデザインから選定した。

大成建設グループ次世代技術研究所/幸手
<A-1部門>
大成建設株式会社

<作品講評>
大手建設会社が次世代のための技術開発の拠点として、木造・木質技術を駆使して脱炭素イノベーションに挑んだ建築である。ファサードなどにコンピューテーショナルデザインが駆使されている。

DX賞


PALETTE
<B-2部門>
etoa studio

<作品講評>
伐採された樹木から切り出される曲がりくねった木材を、3Dスキャンした上でDX技術を用い、適切に並べて家具等を創り出す手法の提案であり、発想が魅力的である。

審査員特別賞


2025年 大阪・関西万博 大屋根リング
<A-1部門>
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 藤本 壮介
株式会社大林組
清水建設株式会社
株式会社竹中工務店
東畑・梓設計共同企業体

<作品講評>
伝統的な日本の貫構造を現在の技術によって大規模に実現しており、万国博覧会の来場者に木の良さをアピールし、国際的に日本の木造技術をアピールすることができた特別な構造物である。

部門賞

A-1部門賞


大熊町産業交流施設―CREVAおおくま―
<A-1部門>
福島県大熊町
清水建設・関・空間設計 特定建設工事共同企業体

<作品講評>
木質V字斜柱制振構造など、木質材料を駆使したハイブリッド構造で、木材に囲まれた魅力的な空間を創り出すなど、建築の内外共に意欲的な木材活用を感じさせる建築である。

A-2部門賞


海のまるみ
<A-2部門>
一級建築士事務所 ニコ設計室株式会社
西久保 毅人
村上建築工房
廣渡 嘉秀

<作品講評>
小規模なゲストハウスであるが、大径木のスギ丸太を用い、貫構造を採用して極めて印象的なファサードを創り出している。内外部ともに様々な木材活用が行われた作品である。

B-1部門賞


kasane / SORI
<B-1部門>
株式会社ユーバイエヌアーキテクツ
占部 将吾 + 西島 要 + 佐藤 元樹
有限会社ひわだや
佐々木 真

<作品講評>
伝統的な屋根葺き構法である檜皮葺の技術を用いて制作したランプシェードの提案である。木質材料の優れた素材感を巧みに利用した作品である。

B-2部門賞


セーザイゲーム
<B-2部門>
熊野林星会

<作品講評>
どのようにして良質な木材を得るのかという「製材」の過程を、木材を用いたゲームによって広く体験してもらい、木材活用の手法を学んでもらおうという大切な試みである。

木材活用賞

懸垂屋根の上に丸岡城天守が見え、周遊を促すゲートになる。

木と鉄で編み込まれた越前織のような天井の下、天守を眺める。

丸岡城観光情報センター「マチヨリ」
<A-1部門>
株式会社TIT
株式会社ヒャッカ
株式会社シェルター

<作品講評>
木材による斜め格子と鉄骨の組み合わせによって懸垂状の屋根を構成する美しい建築である。地中の遺構を傷めないための杭を用いない構造が、広角度の眺望を可能にしている。

ファサード夜景

産直物販

道の駅 ほうじょう
<A-1部門>
NSP設計・アーク設計工房共同体
北栄町
高野・共栄特定建設工事共同企業体
鳥取県中部森林組合
中村建築構造設計合同会社
ウッドストック

<作品講評>
樹状構造を大規模に展開したファサードが印象的な建築である。道の駅という不特定多数の来場者がある建築において、地域木材を活用した取り組みは波及効果を含めて評価できる。


武蔵五日市駅前拠点施設 フレア五日市
<A-1部門>
あきる野市、アルセッド建築研究所、ホルツストラ、来住野工務店

<作品講評>
地域産材を多量に用い、レシプロカル構造など多彩な木材の組み合わせによって、木に囲まれた雰囲気を存分に味わうことのできる開放的な空間を創り出している。

オフィス部分の吹抜けに配置されたストック木材が街に表出する。

ストック木村のブレースで、住居とオフィスの距離を緩やかに調整。

House & Office SH 在と材と財と庫
<A-2部門>
1-1Architects一級建築士事務所
神谷 勇机+後藤 唯
平田建築株式会社 平田 典千
小松宏年構造設計事務所 小松 宏年

<作品講評>
倉庫に眠っていた木材を、フレームに大胆に挿入した斜材として活用し、今までにない木材を活用した空間を造り上げている。

木質開拓賞(日本木材青壮年団体連合会会員賞)

霧島酒造 企画執務室の組子障子
「霧島連山」
<B-1部門>
霧島ホールディングス株式会社
株式会社東条設計
吉原建設株式会社
木下木芸

<作品講評>
組子をアートとして展開し、日本の伝統工芸の可能性を広げようとする姿勢が評価された。

※「木質開拓賞」について
日本木材青壮年団体連合会 会員約800名による投票によって決定。
審査会より事前に投票を行っており、審査会当日その他賞と重複した場合はその賞とのW受賞とする。

第29回木材活用コンクール審査会を終えて

29回木材活用コンクールは、総数217作品と大変多くのご応募をいただきました。

去る38日、株式会社内田洋行様本社ビル CANVAS B1階にて、第29回木材活用コンクールの審査会を実施いたしました。本年度もレベルの高い作品が数多く寄せられ、130作品が予備審査を通過いたしました。

本年度は部門を見直して初めての審査会であったことから、当日の進行に不安もありましたが、最終的に24作品へと絞り込むことができました。回を追うごとに作品のレベルが向上していることを審査員の皆様も実感されており、「この作品も数年前であれば受賞作品の水準であった」といった声も聞かれました。

加えて、新設したDX賞につきましては、運営としても試行的な取り組みであり、不安の中でのスタートとなりましたが、実際には木材産業の未来を感じさせる革新的な取り組みが集まり、本賞にふさわしい作品を選定することができました。デジタル技術と木材利用の融合という新たな可能性を示す、大きな一歩となったと考えております。

本コンクールを通じて、木材利用の価値は確実に広がりを見せております。今後も木材の魅力と可能性が社会へ広く発信されていくことを期待しております。

最後に、本事業の開催にあたり、ご応募いただいた皆様、ならびに審査にご尽力いただいた審査員の皆様、さらに深いご理解とご支援を賜りました協賛企業・後援団体ならびに関係各位の皆様に、心より感謝申し上げます。今後もさらなる発展と多くの皆様のご参加につながる事業となるよう、引き続きご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

令和7年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 外山 勝浩