目次
第22回木材活用コンクール(平成30年度)
応募総数 | 173 | ||
第1部門 | 木造及び混構造建築・構造物 300㎡超え | 47 | 27% |
第2部門 | 木造及び混構造建築・構造物 300㎡以下 | 53 | 31% |
第3部門 | 木質空間(インテリア・エクステリアの木質化) | 37 | 21% |
第4部門 | クリエティブユース(1~3部門以外の創造的木材活用事例<ランドスケープ・インスタレーション・家具・木製品など>) | 36 | 21% |
審査委員会
審査総評
第22回目の木材活用コンクールは、昨年とほぼ同じ、173の作品に応募していただきました。作品のレベルはこの数年、確実に高まっております。応募の内訳は、第一部門47作品、第二部門53作品、第三部門37作品、第四部門36作品となり、昨年減少した第三部門と第四部門が増加し、第三部門は一昨年レベルの応募数となりました。それに対し、第二部門の応募件数が減少したことが今回の特徴でしょう。各部門の応募数は、よいバランスとなってきました。
建築作品に関しては、今年も木材の様々な活用方法が示され、大規模建築における木材活用は時代の潮流となっていることを感じさせました。その中でも、農林水産大臣賞受賞作品は、消防署を木造として実現するというユニークさとともに、伝統的な貫構造を現代的な構法として再構築していることが高く評価されました。一方、国土交通大臣賞受賞作品は、線材である特徴を生かした木材のバラエティ豊かな組み合わせで、三階建ての魅力的な公共建築を創り出していることが高く評価されました。
また、CLTについても、さまざまな使い方がなされるようになってきました。林野庁長官賞受賞作品は、CLTを活用して端正なコンビニエンスストアを実現していることが評価されました。大臣賞・長官賞以外の賞についても、「木材活用コンクール」という、この賞の目的に適合した作品を選ぶことができました。今年は、ネクストイノベーション賞を設けましたが、既存の4階建てRC造建築の杭を利用して、上部を木造とし、軽量化によって6階を実現するというチャレンジが高く評価されました。また、日本木材青壮年団体連合会の会員の皆様が選定するという木質開拓賞は、今年も昨年に引き続き他の賞との重賞とはならず、木材のユニークな使い方がなされた保育園が選ばれました。
合計で20の作品を入賞作品としましたが、部門ごとに、13、2、3、2作品となり、例年になく第一部門の比率が高い結果となりました。この木造及び混構造建築・構造物の大規模部門は、ますますレベルが高くなっており、選考にあたった審査員の方々は候補を絞るのに苦労されていました。来年も、さらにレベルの高い作品を期待したいと思います。
審査委員長
深尾 精一
審査員
(敬称略)
[審査委員長]
深尾 精一
首都大学東京 名誉教授
[審査委員]
有馬 孝禮
東京大学 名誉教授
加藤 昌之
株式会社加藤設計 代表取締役
古久保 英嗣
(公財)日本住宅・木材技術センター 理事長
霜野 隆
(一社)日本インテリアプランナー協会 代表理事会長
松井 郁夫
株式会社松井郁夫建築設計事務所 代表取締役
藤田 香織
東京大学大学院 准教授
齋藤 健一
林野庁 木材産業課 木材製品技術室長
成田 潤也
国土交通省 住宅局 住宅生産課 木造住宅振興室長
鈴木 興太郎
日本木材青壮年団体連合会 会長
川井 博貴
日本木材青壮年団体連合会 木材活用委員会担当副会長
最優秀賞
農林水産大臣賞
「大船渡消防署住田分署」 |
住田町・株式会社SALHAUS |
住田町長 神田 謙一・安原 幹+日野 雅司+栃澤 麻利 |
<作品講評>
消防署を木造として実現するというユニークさとともに、伝統的な貫構造を現代的な構法として再構築していることが高く評価されました。
国土交通大臣賞
大槌町文化交流センター「おしゃっち」 |
大槌町、前田・近代・中居・TOC異業種特定建設共同企業体 + ホルツストラ |
大槌町、前田 操治、松永 安光、平谷 伸吾、高山 久、稲山 正弘 |
<作品講評>
線材である特徴を生かした木材のバラエティ豊かな組み合わせで、三階建ての魅力的な公共建築を創り出していることが高く評価されました。
優秀賞
林野庁長官賞
ローソン館林木戸町店 |
株式会社ローソン、株式会社ツードッグス、有限会社ケミカルデザイン一級建築士事務所、廣瀬隆志建築設計事務所 |
竹増貞信、宇都宮賢二、奥村俊慈、廣瀬隆志 |
<作品講評>
CLTを活用して端正なコンビニエンスストアを実現していることが評価されました。非住宅のコンビニやファミレス等にも、木材をふんだんに使った流れをつくることが期待できます。
(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
竹中研修所「匠」新館 |
株式会社竹中工務店 |
寺村 雄機、大平 滋彦、日野 宏二、松原 由典、福本 晃治、國府田 まりな |
<作品講評>
CLT建築を優れたディテールで実現し、木のもつやすらぎに富んだ空間となっていることが評価されました。
(一社)全国木材組合連合会会長賞
茂木町まちなか文化交流館 ふみの森 もてぎ |
株式会社 龍環境計画 |
内田 文雄 |
<作品講評>
構造材や仕上げ材に、町有林の無垢材を使用し、人と環境に優しい木質化を実現していることが評価されました。
(一社)日本インテリアプランナー協会賞
当麻町役場庁舎 |
山下設計・柴滝建築設計事務所 |
海藤裕司、柴田俊介、横山雅行 |
<作品講評>町産材の木材を活用し、軸組構法によるワンフロア型の大空間を実現していることが評価されました。
日本木材青壮年団体連合会会長賞
長門おもちゃ美術館 |
伊藤立平建築設計事務所 + 株式会社シンラテック |
伊藤 立平、近藤 友宏、伊藤 直也 |
<作品講評>
木材の多様な表情と技術が見える展示場になっていることが評価されました。
特別賞
ネクストイノベーション賞
道路側ファザード 外壁・軒天の一部を桧とし、見た目にも温かみのある外観とした
2階事務室 鉄骨の柱・梁を杉板で仕上げ木質化。木の香りのする事務所を実現した
THE WOOD |
株式会社腰越耕太建築設計事務所 |
腰越 耕太 |
<作品講評>
既存の4階建てRC造建築の杭を利用して上部を木造とし、建物の軽量化によって6階を実現するというチャレンジが高く評価されました。
部門賞
第1部門賞
アイテラスガーデンズ目白 |
株式会社セルスペース、株式会社KAP(構造設計) |
早草 睦惠、萩生田秀之(構造設計) |
<作品講評>
伝統的な真壁造りを中層建物で実現し、通りに面して木材を配し、魅力的な街並みを生み出していることが評価されました。
第2部門賞
遠野木造温室 |
株式会社ジェーエーシーアグリ、宇和建築設計事務所、木造温室プロジェクト有志 |
真野 孝仁、真野 仁希、宇都宮 俊、和田 崇敬、佐々木 誠、伊勢崎 克彦 |
<作品講評>
地域の間伐材を有効利用した木造の温室で、地産地消や日本の風土や風景配慮しつつも、コストと施工のしやすさも考慮されていることが評価されました。
第3部門賞
堂前の家 |
株式会社ADX(旧 株式会社 Life style工房) / なわけんジム |
安齋 好太郎 / 名和研二 |
<作品講評>
木のもつ魅力を全面に出しつつも、防火性能やメンテナンスの施工性を考慮し、密集狭小地における都市型木造住宅の可能性を拓くものとして評価されました。
第4部門賞
KASANOKI |
ah,美山木匠塾,狩野新アトリエ,富永ジョイナー有限会社 |
羽原 康成(クリエイティブディレクター),京都府立大学メンバー(デザイナー),狩野 新(コンストラクション・アドバイザー),富永 啓司(阿波指物師) |
<作品講評>
伝統的な加工技術を駆使して出来た杉材の傘立てであり、オブジェとして玄関におきたいと思わせるシンプルなデザインであることが評価されました。
木質開拓賞
日本木材青壮年団体連合会会員賞
きのぼりほいくえん |
社会福祉法人しらゆり会,西田工業株式会社,株式会社徳田銘木,ちびっこ計画・大塚謙太郎一級建築士事務所 |
武内 愼吾,西田 吉宏,徳田 浩,大塚 謙太郎 |
<作品講評>
遊びの原点である木登りに立ち返る遊具として、木材の持つ本来の姿を活かした保育園が選ばれました。
木材活用賞
えちぜん鉄道福井駅 |
独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 渡邉 修 |
えちぜん鉄道 株式会社 豊北 景一 |
京都府農林水産技術センター 農林センター 京都府茶業研究所 |
京都府 + 株式会社東畑建築事務所 |
江東区立有明西学園 |
久米・竹中設計共同企業体 |
株式会社 竹中工務店 栗田 献、山田 貴夫 株式会社 久米設計 伊藤 彰彦 |
福島県営復興公営住宅磐崎団地(いわきCLT復興公営住宅) |
ふくしまCLT木造建築研究会(木あみ) 代表事業者 会津土建株式会社 |
①会津土建株式会社 取締役社長 菅家 洋一 ②株式会社白井設計 代表取締役 白井 武男 ③株式会社邑建築事務所 会長 陽田 秀夫 ④株式会社日本システム設計 代表取締役 三宅 辰哉 ⑤株式会社渡辺組 代表取締役 渡辺 大輔 ⑥菅野建設株式会社 代表取締役 菅野 日出喜 ⑦山木工業株式会社 代表取締役 志賀 耕三郎 |
国際基督教大学 新体育施設 |
日本設計、隈研吾建築都市設計事務所、前田建設工業株式会社一級建築士事務所、インデックスコンサルティング |
岩橋 祐之、隈 研吾、尾道 理、綱川 隆司、永松 航介、廣岡 勇輝 |
SYNEGIC office |
ウエノアトリエ・ホルツストラ・KMC |
堀越 ふみ江・長谷川 欣則・稲山 正弘・蒲池 健 |
知立の寺子屋 |
株式会社マウントフジアーキテクツスタジオ 一級建築士事務所 |
原田 真宏 / 原田 麻魚 |
第22回木材活用コンクール審査会を終えて
日本木材青壮年団体連合会主催の「木材活用コンクール」も平成9年に創設されて以来、今回で22回目を迎えました。木材の新しい用途での普及と利用拡大に貢献する事を目標とする、日本木青連の重要な事業として毎年開催しております。
今回は、173作品の応募を頂きました。その中から、農林水産大臣賞並びに国土交通大臣賞の2つの大臣賞を最優秀賞とし、優秀賞や各部門賞と併せ20作品を選出させて頂きました。今回も素晴らしい作品が多数あり、惜しくも選にもれた中にも、「木の良さを活かした作品」が数多くありました。
木材自給率の向上を目的とした「公共建築物等木材利用促進法」が施工されてから、全国各地で数多くの公共施設の木造建築物が建てられるようになり、当コンクールにも多数の応募を頂いております。木質空間の持つ居心地の良さなどが再評価され、一般住宅だけでなく、公共施設や商業施設など、さらなる普及が期待されます。
今回の「第22回木材活用コンクール」を開催するにあたり、応募して下さった皆様、後援・協賛を頂きました各団体・企業の皆様、厳正に審査して頂いた審査員の皆様、全国各地の木青連会員の皆様、その他多くの方々に多大なるご支援・ご協力を頂きまして、心より感謝申し上げます。
平成30年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 田中 俊章