第4回木材活用コンクール(平成12年度)
応募総数 | 52 |
審査委員会
審査講評
このコンクールは日本木材青壮年団体連合会が、新しい木材活用の道を開拓することをねらいとして企画したもので、今回が4回目である。
最初はコンクールが成り立つか否かを危惧したが、実施したところ予想外の反響があり、力作が多く集って、数、質ともに充実し順調な発足をしたのであった。
本年度は応募数において前年度より減少したが、幸い優秀な提案があって、全体として年を追って技術が向上してきていることが読み取れた。まことに喜ばしいことであった。
その内容について述べると以下のようである。地域的には広く全国から応募があった。しかし、九州、四国、北海道からの作品が少なかったことは残念であった。部門別について言えば、インテリアは昨年と同様に少なかった。部門名が“インテリア”では意味が分かりにくいので、明年からは“インテリア・家具・内装'と名称を改めたほうがよいであろう。建物について言えば郵便局が3案提出されている。この種の木造建築が増えていくのは望ましい。しかし本年は木造校舎の作品が見られなかったのは淋しかった。最近は学校建築に木造の優秀なものが増えている傾向があるので、その方面にもPRを望みたいと思う。
終わりに一言付け加えたいのは、このコンクールは社会的にみて今や追い風を受けているので、会員の皆さんに自信をもってPRしていただき、明年は応募数が倍増することを期待したいと思う。
審査委員長
小原 二郎
審査員
(敬称略)
[審査委員長]
小原 二郎
千葉工業大学・理事 日本インテリア学会会長
[審査委員]
岡 勝男
(財)日本住宅・木材技術センター理事長
東 孝光
千葉工業大学工業テザイン学科教授
上村 武
日本木材青壮年団体連合会・顧問
栗山 正也
KDアトリエ代表 日本インテリアプランナー協会常務理事
田中 信行
日本木材青壮年団体連合会・会長
征矢 隆
木構造振興株式会社・専務取締役
大須賀 丈人
日本木青連木材活用コンクール委員会・委員長
最優秀賞
林野庁長官賞
吉備高原幼稚園 |
(株)シーラカンスアンドアソシエイツ 東京都立大学 |
小泉雅生 |
<作品講評>
この作品は木造の幼稚園であるが、全体として計画は美しいデザインでよくまとめられている。特筆したいのは、大屋根にかかる応力を、格子状に組んだ木枠の構造物によって巧みに分散させ、それによって圧迫感のない大きな空間を生み出していることである。これは新しいアイデアと言ってよい。またこの空間は、子供達にやさしさと夢を与えるものであることも付け加えておきたい。以上の諸点を高く評価し、最優秀賞として推薦した。
優秀賞
(財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
COSMOSハウス |
アトリエCOSMOS |
白鳥健二・悦子 |
<作品講評>
この作品は住宅と設計事務所を含む新しい形の建物の提案である。わん曲した自由な空間を持つことが特徴であるが、それは現場において、大工さんが手作りした集成加工の寄せ木によって構成されたものである。これは新しいアイデアで、木材の効率的利用の一方法として評価したい。
(社)全国木材組合連合会会長賞
町屋2000 |
(有)柳川賢次建築設計事務所 |
柳川賢次 |
<作品講評>
この作品は岸和田市に建つ住宅であるが、地場産の木材を利用して造られていること、伝統的な和風住宅の特徴である通り庭、土間、縁側、坪庭などの要素を巧みに取り入れていること、および家具に至るまで全体を通してきめ細かなデザインまでまとめられていること、などの諸点を評価した。町屋住宅の一つのあり方を示すもので、波及効果も期待できるであろう。
第4回木材活用コンクールを終えて
第4回木材活用コンクールを開催するにあたりご後援をいただいた、関係官庁、諸団体ならびに審査委貝の先生方をはじめ多くの皆様方にご支援、ご協力を賜り心より惑謝申し上げます。
今年度は過去3回にくらべると作品点数は52点と半減してしまいました。しかし作品の質に関しては年々技術も向上し、全国から素晴らしい作品が集ったと思っています。
今回は募集部門を見直してみようと、建築部門を住宅部門と木造建築・構造物部門の2部門に分けてみました。その結果なのかどうかわかりませんが、応勢総数52点のほとんどがこれらの部門からの作品でした。結果として最優秀賞は4年連続で木造建築・構造物部門から選ばれましたが、住宅部門においても新しいアイデアや地場産の木材を利用した作品が数多くあり、全般的にも木材活用の新たな道を見出せたのではないかと思います。
今年度の反省としてインテリア部門、エクステリア部門からの応募が少なかったことはこれらの方面への情報がうまく伝わっていないことが考えられます。小原先生からのご指摘がありましたように来年度からは‘‘ インテリア部門"の名称を“インテリア・家具・内装部門”とわかりやすくし、またあわせてインテリア部門、エクステリア部門へのPR方法を考え、これらの部門から数多くの作品を集めていただきたいと思います。
最後に作品募集にあたりご尽力いただいた木青連の会員の皆様方に心より感謝申し上げ、平成12年度委員長の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
平成12年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 大須賀 丈人