目次
第19回木材活用コンクール(平成27年度)
応募総数 | 129 | ||
第1部門 | 木造及び混構造建築・構造物 300㎡超え | 26 | 20% |
第2部門 | 木造及び混構造建築・構造物 300㎡以下 | 54 | 42% |
第3部門 | 木質空間(インテリア・エクステリアの木質化) | 28 | 22% |
第4部門 | ランドスケープ・インスタレーション | 8 | 6% |
第5部門 | 木製品(建材を含む) | 13 | 10% |
審査委員会
審査講評
第19回目の木材活用コンクールは、約129の作品に応募していただきました。昨年に比べ数は減りましたが、力作ぞろいだったと思います。
建築作品に関しては、木材の様々な活用方法が示されました。製材の組み合わせ方を工夫したもの、木材と鉄骨のハイブリッド構造を大規模に展開したもの、LVL材の新たな使い方を示したもの、RC造との混構造を追求したものなど、多様な木材の活用の形が示されております。農林水産大臣賞受賞作品は、地場の杉材を巧妙に用いて豊かな空間を生み出していますし、国土交通大臣賞受賞作品は、鉄骨と木材のハイブリッドという新たな構造形式を追及していることが、高く評価されました。両賞に相応しい作品が選ばれたと思います。また、そのほかの賞についても、「木材活用コンクール」という、この賞の目的に適合した、バラエティのある作品を選ぶことができました。
一昨年から始められた、日本木材青壮年団体連合会の会員の皆様が選定するという会員特別賞は、今年は、日本住宅・木材技術センター理事長賞との重賞となりました。この試みは定着してきたのではないでしょうか。
審査結果ですが、第一部門の、「木造及び混構造建築・構造物の大規模部門」には、今年も意欲的な作品に応募していただき、ますますレベルが高くなってきております。昨年から「一般住宅」に替わって設けられた第二部門「木造及び混構造建築・構造物の小規模部門」には、住宅と非住宅の両方の応募があり、受賞作も双方から選ばれております。ただし、住宅作品で選ばれたものは少なく、住宅という様々な要求が課せられる建築において、木材をどのように活用していくか、今後の提案を期待したいと思います。
第三部門の木質空間には、今年も様々な提案が寄せられました。日本木材青壮年団体連合会の会員特別賞は、昨年に引き続いて、この部門から選ばれる結果となりました。
第四部門の「ランドスケープ、インスタレーション」と第五部門の「木製品」の部門は、ともに十作品前後の応募数でした。審査員としては、もう少し多くの作品のなかから選びたいと思っております。
五つの部門の中から、厳正に審査を行った結果、農林水産大臣賞と国土交通大臣賞をはじめ、19の作品を入賞作品としました。今回も、木材活用コンクールらしい作品を選び出すことができたと考えております。
審査委員長
深尾 精一
審査員
(敬称略)
[審査委員長]
深尾 精一
首都大学東京 名誉教授
[審査委員]
有馬 孝禮
東京大学 名誉教授
加藤 昌之
株式会社加藤設計 代表取締役
岸 純夫
(公財)日本住宅・木材技術センター 理事長
中川 誠一
(一社)日本インテリアプランナー協会 顧問
松井 郁夫
株式会社松井郁夫建築設計事務所 代表取締役
藤田 香織
東京大学大学院 准教授
小島 孝文
林野庁 林政部 木材産業課長
澁谷 浩一
国土交通省 住宅局 木造住宅振興室長
下荒 隆晴
日本木材青壮年団体連合会 会長
鈴木 善一朗
日本木材青壮年団体連合会 木材活用委員会 委員長
最優秀賞
農林水産大臣賞
和水町立三加和小中学校 |
野沢 正光、中村 享一、柴田 真秀、東大森 裕子
山辺 豊彦 |
野沢正光建築工房 + 一宇一級建築士事務所 + UL設計室+ 東大森裕子時空間設計室 山辺構造設計事務所(構造) |
<詳細資料> 和水町立三加和小中学校 |
<作品講評>
地場産材である「アヤスギ」の製材を「束ね重ね材」として組み合わせた構造システムを採用し、エンジニアードウッドではなく無垢の製材を使用した大規模構造建築としてモデルとなる作品である。
国土交通大臣賞
福島県国見町庁舎 |
朴 明浩、青木 豊実、森 遼樹 |
ジェイアール東日本建築設計事務所 |
<詳細資料> 福島県国見町庁舎 |
<作品講評>
鉄骨の軸組を集成材で包み、耐火被覆の機能を木材に持たせた、木材の活用方法として新たな試みとなるハイブリッド構造の建築である。木材を活かした優れたデザインも高く評価された。
優秀賞
林野庁長官賞
みやむら動物病院 |
鈴木敏彦、西澤高男、山代悟、安井昇、佐藤孝浩、岡安泉、鈴木晴之 |
ATELIER OPA + ビルディングランドスケープ + 桜設計集団(構造・防耐火設計) + 岡安泉照明設計事務所 + 大和工務店(施工) |
<詳細資料> みやむら動物病院 みやむら動物病院. |
<作品講評>
LVLを構造材として使用した意欲的な試みの建築である。LVLの積層面の美しさをデザインとして活用し、吹き抜け空間を強調するなど、設計密度の高い建築である。
(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
福岡女子大学 学術情報センター 森の中の図書館 |
小見山 信巳、桐 賢史、松尾 敬一(久米設計) 末廣 香織、末廣 宣子(NKSアーキテクツ) 和田 義一(大設計) |
<詳細資料> 福岡女子大学 学術情報センター 森の中の図書館 |
<作品講評>
天井の高い鉄骨造の大スペースに県産材の杉のルーパーを角度を変化させて配し、魅力的な空間を演出している木材の優れた活用事例である。
(一社)全国木材組合連合会会長賞
武庫川女子大学文学2号館改修 |
松本 伸洋、髙橋 裕美、戸田 忠秀 |
株式会社 竹中工務店 |
<詳細資料> 武庫川女子大学文学2号館改修 |
<作品講評>
LVLを耐震補強壁として現し仕上げで用い、美しい木質の空間を創出している。RC造の耐震補強としてLVLを使用するという、意欲的な活用事例である。
(一社)日本インテリアプランナー協会賞
ATグループ本社 北館 |
長谷川 寛、伊藤 貴弘、石黒 紘介 |
株式会社竹中工務店 |
<詳細資料> ATグループ本社北館 ATグループ本社北館. |
<作品講評>
自動車販売会社のショウルームとして、建築全体がショーケースの役割をしている。複合集成材を用いた木質空間とすることで環境にも配盧されたデザインとなっている。
日本木材青壮年団体連合会会長賞
くりばやし整骨院 |
鍋野 友哉 (鍋野友哉アトリエ ) 福山 弘 (福山弘構造デザイン) |
<詳細資料> くりばやし整骨院 |
<作品講評>
2階床にCLT材をプラットフオームとして用いた建築で、大きく張り出した2階の床がそのまま軒天仕上げとなるなど、CLTの良さを活かした作品である。
木質開拓賞
日本木材青壮年団体連合会 会員特別賞
福岡女子大学 学術情報センター 森の中の図書館 |
小見山 信巳、桐 賢史、松尾 敬一(久米設計) 末廣 香織、末廣 宣子(NKSアーキテクツ) 和田 義一(大設計) |
※「木質開拓賞」について
日本木材青壮年団体連合会 会員約800名による投票によって決定。
審査会より事前に投票を行っており、審査会当日その他賞と重複した場合はその賞とのW受賞とする。
今回は上記(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞とのW受賞となりました。
部門賞
第1部門賞
道の駅あいづ 湯川・会津坂下 |
三井所 清典(アルセッド建築研究所) 稲山 正弘(ホルツストラ) 坂田 涼太郎(坂田涼太郎構造設計事務所) |
<詳細資料> 道の駅あいづ 湯川・坂下 |
<作品講評>
地域産の製材を樹木のように組み上げ、樹状トラスによって水平力を処理した建築である。樹状トラスと天井との納まりなど、デザインに工夫がこらされている。
第2部門賞
内デッキのある家 |
長谷川 総一 ( 長谷川設計事務所) |
<詳細資料> 内デッキのある家 内デッキのある家. |
<作品講評>
内部を貫く「内デッキ」など、木質空間の良さが活かされた住宅である。建具の納め方、屋根の構成なども日本の風土にあった感じを受ける。
第3部門賞
109シネマズ二子玉川 |
大久保 敏之、島田 雄太 |
株式会社フィールドフォー・デザインオフィス |
<詳細資料> 109シネマズ二子玉川 |
<作品講評>
階段と一体化した変化にとんだ床を木質化し、様々な使い方がなされるよう工夫がされた木材活用事例である。
第4部門賞
森湊灯台 |
上野 浩一、稲田 賢、横内 友博 |
岐阜県立森林文化アカデミー木造建築講座 |
<詳細資料> 森湊灯台 森湊灯台 |
<作品講評>
森林・林産業を学ぶ学生が主体となり製作した木材活用を目指す作品である。美しいシンボルに仕上がっている。
第5部門賞
「くむんだー」木のジャングルジム |
川村 克己 |
川村工務店 |
<詳細資料> 「くむんだー」木のジャングルジム |
<作品講評>
子供たちが伝統的な家づくりの技に親しむことを目指して作られた木育玩具である。子供たちが協力しながら組み立てるという考え方も高く評価できる。
木材活用特別賞
松尾交流センター 洗心館 |
榎本 雅夫 |
株式会社 榎本建築設計事務所 |
<詳細資料> 松尾交流センター洗心館 |
横浜商科大学高等学校実習棟 |
江波戸 宏、佐藤 圭太、横川 美菜子 |
株式会社 竹中工務店 |
<詳細資料>横浜商科大学高等学校実習棟 |
入間3階建てログハウス |
株式会社フェニックスホーム 松下 勝久
協同組合いわき材加工センター 鈴木 裕一 |
<詳細資料>入間3階建てログハウス |
下川町のトドマツオフィス |
内海 彩、佐藤 孝浩 |
チーム・ティンバライズ+王子ホールディングス |
<詳細資料>下川町のトドマツオフィス |
水結の杜 |
平井 純、服部 祥子(かぜの結 一級建築士事務所)
松岡 泰夫 (施工:株式会社松岡工務店) |
<詳細資料> 水結の杜 |
地元の大工さんでつくる小さな保育所 |
今川 忠男 |
今川建築設計 |
<詳細資料>地元の大工さんでつくる小さな保育所 |
北海道新幹線 新函館北斗駅 |
局長 長谷川 雅彦 |
独立行政法人 鉄道建設
運輸施設整備支援機構鉄道建設本部 北海道新幹線建設局 |
<詳細資料>北海道新幹線 新函館北斗駅 |
第19回木材活用コンクール審査会を終えて
『「木の良さ」活かした作品募集します。』の木材活用コンクールも、毎年たくさんのご応募、ご協力により19回目を迎えることができました。
今回は、募集部門を5部門とし、平成27年12月1日~平成28年1月15日の期間で作品を募集いたしました。結果として129作品のご応募をいただくことができました。その中から厳正な審査のうえ、最優秀賞、優秀賞など19作品と、木青連会員特別賞である「木質開拓賞」1作品を選出させて頂きました。
「第19回木材活用コンクール」開催にあたり、ご協賛・ご後援並びにご協力を賜りました関係団体及び各社様、審査員の皆様に心より感謝申し上げます。
今後とも木材活用コンクール事業へのご理解、ご協力を賜りま̅すようお願いいたします。
平成27年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 鈴木 善一朗