第12回木材活用コンクール(平成20年度)

応募総数 96
第1部門 木造建築・構造物 24 25%
第2部門 住宅 38 40%
第3部門 エクステリア 5 5%
第4部門 インテリア 19 22%
第5部門 木材加工技術 1 1%

審査委員会

審査講評

 このコンクールは木材の新しい利用方法を開発した実例に光を当て、それを周知させることによって、木材業界の活性化を図る事を目的として創設されたもので、本年で12回迎えた。応募内容は木造建築、住宅、エクステリア、インテリア、新技術などの部門に分かれている幸いこの趣旨は次第に理解されて、応募件数は毎年百件を超え、内容も充実してきた事は喜ばしい事であった
 本年の応募数は96作品で、大型の公共施設や学校などは減少したが、地場産業に結びついた個性的な作品が、比較的多く見られたところに特徴があった。一方内容的には、充実したものが多かったのは心強い事であった審査は328日(土)に行われたが、8時間かけて下記の結果に落ち着いた。募集に努められた委員の方々と、審査委員先先生方のご苦労に深く敬意を表したいと思う。

審査委員長
小原  二郎

審査員

(敬称略)
[審査委員長]
小原 二郎
千葉工業大学 常任

[審査委員]

有馬 孝禮
宮崎県木材利用技術センター 所長

加藤 昌之
株式会社加藤設計 代表取締役

岸 純夫
(財)日本住宅技術セ理事長

栗山 正也
KDリエ 所長

黒川 哲郎
デザインリーグ

深尾 精一
首都大学東京 都市環境学部 建築都市コース 教授

松井 郁夫
株式会社松井郁夫建築設計事務所 代表取締役

村口 峽子
駒沢女子大学 教授、村口峽子デザイン事務所DUO

最優秀賞

林野庁長官賞

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林野庁長官賞
 県営鳴石アパート
 株式会社 三ツ矢建設工業
佐々木 博満
 <詳細資料>県営鳴石アパート

<作品講評>
この作品は岩手県が開発した造成地に、長屋形式の木造県営アパート3棟(18戸) を建設したものである。敷地に合わせて雁行形に配置され、切妻屋根としたので独特の美しい外観を持つとともに、各戸の独立感が得られたのは巧みな設計であった。なお第3棟の中の2戸には、杉の小径木を用いた大型集成材が使われていて、1時間耐火の大臣認定も取得している。以上に述べたように、本作品は公営住宅と地元産杉材の連繋を計り地域産業に寄与したこと、伝統の施工法で新しい町並みづくりに成功したことを高く評価して、最優秀作品に推薦した。

優秀賞

(財)日本住宅・木材技術センター理事長賞

1383199709
 曲
 東海建設株式会社
 彦根 アンドレア
 <詳細資料>曲

<作品講評>
この作品は東京都郊外に住む若い夫婦から、曲線を持つ住まいが欲しい、階段が好き、広いインテリアを望む等の要望を受けて、それに答えて生まれた小住宅である。完成したこの家は小さい公園を背景にして、隣家との距離感も程よく調和しており、施主からも喜ばれるという目的を達成した一例である。最も大きな特徴は樽型の円筒の製作法である。それは木造トラスを組み合わせることによって完成した。アーチは真っ直ぐな材のみで構成されている。欧州赤松の50mm×240mmの集成材の側面に切り込みを作り、側面同士を噛み合わせて作ったもので、釘やビスは使っていない。この1棟の構造体に必要とされる木材の量は、湾曲集成材を作るための必要量よりもはるかに少なくて済んでいる。審査委員としては、木材のみで作られる新しい魅力的な空間を開発したことを評価して優秀賞に選んだ。

(社)全国木材組合連合会会長賞

1383201513
 おかやま山陽高校記念館
 株式会社 森本工務店
大角 雄三
 <詳細資料>おかやま山陽高校記念館

<作品講評>
この記念館はおかやま山陽高校の創立80周年記念として、同校の所蔵する記念品や著名人の作品などを展示するため、および各種の会合に利用するために建てられたものである。記念館は新築棟と在来の建物を改造した棟との2つから出来ている。改造棟は昭和40年の木造2階建ての建築で、主に生徒の活動の場として使われる。また新築棟は伝統の小屋裏構造で組建てられており、展示スペースとして利用される。中間のつなぎの部分の前庭には石の彫刻があり、石と木材と漆喰壁が程よくその特性を生かし合っている。審査委員は新旧2つの棟の組み合わせの巧みさを評価して優秀賞を贈ることにした。

日本木材青壮年団体連合会会長賞

1383201631
「木のある住まい」マンションリフォーム
 有限会社 藤里建築工房
横濱 金平
 <詳細資料>「木のある住まい」マンションリフォーム

<作品講評>
この応募作品は築後30年の市街地に建つマンションのインテリアを、木の家と同様の住み心地に造りを変えた例である。本作品の特徴は、設計者が「手描きスケッチ」をインターネットを利用して、木材に関係する仕事をしている施主に示し、その案を確認するという会話方式によって、室内の各部の改造案を決定しながら作業を進めたところにあるといってよい。その結果、問伐材や端材も利用して、安価にリフォームを推進することが出米たという。今後のリフォームのあり方を示す例の一つとして評価した作品であった。

部門賞

第1部門賞 (木造建築・構造物)

1383201827
 芦北町薩摩街道佐敷宿交流館
  博美建設株式会社 他2社
  芦北町
 <詳細資料>芦北町薩摩街道佐敷宿交流館

第2部門賞 (一般住宅)

1383201925
 音楽ホールのある家
 株式会社 大畑工務店
龍口 元哉
 <詳細資料>音楽ホールのある家

 

1383202010
 吹抜けのある家 -空気流れる木のおおらかな空間-
 株式会社 市川工務店
長谷川 総一
 <詳細資料>吹抜けのある家

 

第3部門賞 (エクステリア)

1383202097
 塔をもつレストラン「Beacon」
 株式会社 大栄建設
矢田 康順
 <詳細資料>塔をもつレストラン

 

第4部門賞 (インテリア・家具)

1383202198
 新の口のレストラン
 株式会社 大建
関谷 昌人
 <詳細資料>新ノ口のレストラン

 

第5部門賞 (新しい木材加工技術)

1383202281
 丸美産業株式会社本社
 株式会社 鹿島建設
 丸美産業株式会社
 <詳細資料>丸美産業株式会社本社

 

奨励賞

1383202435
 小郷のバス停
 株式会社 木匠塾京都大学チーム
 寺村 雄機

 

1383202479
 智頭杉の蒔地ダイニングテーブル
 桐本木工所
桐本 泰一

 

1383202518
 E-CHO
 東京大学農学部木質科学研究所
藤田 克則

 

1383202538
 Sメンタルクリニック
 野村建設 株式会社
佐々木 珠穂

 

審査委員賞

1383202580
 ひょうご環境体験館(はりまエコハウス)
 畑崎建設 株式会社
 遠藤秀平建築研究所

 

1383202610
 茂木町立茂木中学校
 東洋建設株式会社 関東支店
 茂木町長 古口 達也

 

第12回木材活用コンクール審査会を終えて

 

 

 

 平成20年度の木材活用コンクールを開催するにあた、審査委員の先生方を始め関係者各位には多大なるこ協力を頂き誠にありがとうございました去る21328日()に森下化センターにおきまして審査会を無事開催する事が出来ました。作品数は96作品の応募があり、当日は約7時間にわたる先生方の激しい議論の中16作品が入選致しました。どの作品も木の素晴らしさを表現した作品でした今後も大規模木造建築物は飛躍的に伸びる可能性を秘めており、我々も新しい技を学んでいかなくてはなりません。また一般住宅においても木の素晴らしさをアピールしていく必要性がまだまだある材活用コンクール」を通じて強く感じました。また来年も13回木材活用コンクールが開催されます。またたくさんの素晴らしい作品に出会える事が出来ます様、皆様御協力の程よろしくお願い致します。

平成20年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 大貫 隆司