第18回木材活用コンクール(平成26年度)

応募総数 194
第1部門 木造及び混構造建築・構造物 300㎡超え 35 18%
第2部門 木造及び混構造建築・構造物 300㎡以下 99 51%
第3部門 木質空間(インテリア・エクステリアの木質化) 33 17%
第4部門 ランドスケープ・インスタレーション 13 7%
第5部門 木製品(建材を含む) 14 7%

審査委員会

審査講評

 第18回目の木材活用コンクールは、200近い作品を応募していただきました。
 建築作品に関しては、製材の組み合わせ方を工夫したもの、集成材構造の新たな展開を示したもの、木材による耐力壁の作り方を工夫したもの、耐火木造によって共同住宅を実現したもの、CLTの新たな使い方を示したものなど、極めて多様な木材の活用の形が示されております。特に、二つの大臣賞受賞作品は、架構形式に新たな工夫を凝らすとともに、その構造が豊かな空間を生み出すことにつながっていることが、高く評価されました。また、全体として木材の使い方の幅を広げようとする動きが見られたことは、今後のさらなる展開を期待させるに十分なものでした。
 昨年から始められた、日本木材青壮年団体連合会の会員の皆様が選定するという会員特別賞は、今年は、日本インテリアプランナー協会賞との重賞となりました。この試みは今後定着していくとと思います。
 審査結果ですが、第一部門の、「木造及び混構造建築・構造物の大規模建築物部門」には、今年も意欲的な作品に応募していただき、激戦となりました。今年から「一般住宅」に変わって設けられた第二部門「木造及び混構造建築・構造物の小規模建築部門」具体的には300㎡を境にさせていただきましたが、この小規模部門には、100近くの作品に応募していただきました。住宅と非住宅の両方の応募があり、受賞作も双方から選ばれております。部門名の変更は適切であったと考えております。
 第三部門の木室空間には、様々な提案が寄せられ、木材活用コンクールらしいものとなりました。日本木材青壮年団体連合会の会員特別賞は、この部門から選ばれる結果となりました。
 第四部門の「ランドスケープ、インスタレーション」と第五部門の「木製品」の部門は、ともに十数作品の応募でしたが、今年もアイディアに満ちた、意表をつく作品が選出されております。
 五つの部門の中から、厳選に審査を行った結果、農林水産大臣賞と国土交通大臣賞をはじめ、20の作品を入賞作品としました。今年も、木材活用コンクールらしい作品を選び出すことができたと考えております。

審査委員長
深尾 精一

審査員

(敬称略)
[審査委員長]

深尾 精一
首都大学東京 名誉教授

[審査委員]

有馬 孝禮
東京大学 名誉教授

加藤 昌之
株式会社加藤設計 代表取締役

岸 純夫
(公財)日本住宅・木材技術センター 理事長

中川 誠一
(一社)日本インテリアプランナー協会 顧問

松井 郁夫
株式会社松井郁夫建築設計事務所 代表取締役

藤田 香織
東京大学大学院 准教授

小島 孝文
林野庁 林政部 木材産業課長

内田 純夫
国土交通省 住宅局 木造住宅振興室長

川西 雅也
日本木材青壮年団体連合会 会長

氏平 祥光
日本木材青壮年団体連合会 木材活用委員会 委員長

最優秀賞

農林水産大臣賞

 住田町役場
 前田建設工業株式会社 代表取締役社長 小原 好一
(前田建設工業・長谷川建設・中居敬一都市建築設計異業種特定建設共同企業体)
松永 安光(株式会社 近代建築研究所)
稲山正弘(ホルツストラ)
 <詳細資料> 住田町役場

<作品講評>
シンボリックなレンズ型のトラスが印象的な建築で、地域材を製材として活用して造っていることが高く評価できる。様々な新しい構造技術が採用されていることも特筆すべきである。住田町は東日本大震災直後から後方支援をするベースとして活動しており、そこで木造で庁舎を建てると言うことが東北全体に対しても元気を与えている。

国土交通大臣賞

北見信用金庫紋別支店
菅原 秀見
株式会社 北海道日建設計
 <詳細資料> 北見信用金庫紋別支店

<作品講評>
銀行の支店として先進的な木造建築であり、木の良さを地域の人々に強くアピールできる。木の特徴を柔らかく表現しており、非常に巧い木材の使い方である。荷重の逃がし方などの構造計画も優れている。

優秀賞

林野庁長官賞

 荒川材木店 道作工場 事務所
荒川 仁弥、荒川 敦郎(株式会社 荒川材木店)
檜山 延雄(まちづくり工房 株式会社)
山田 憲明(株式会社 山田憲明構造設計事務所)
鈴木 裕一、鈴木 謙司郎(株式会社 ダイテック)
 <詳細資料> 荒川材木店 道作工場 事務所

<作品講評>
杉の大断面無垢材を使った高耐力壁等を新たに開発、使用しており、今後増加が予想される杉材の大径材の有効活用に向けた良いモデルになる作品である。

(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞

 下馬の集合住宅
 小杉栄次郎、内海彩、腰原幹雄、安井昇、佐藤孝浩
 KUS一級建築士事務所+team Timberze
 <詳細資料> 下馬の集合住宅

<作品講評>
極めてチャレンジングな集合住宅作品である。かなり長い時間をかけて情熱をもって取り組まれており、世の中に広く発信して、多くの方々の評価を聞いて見たい。

(一社)全国木材組合連合会会長賞

 CLT構造体感空間
 岡山県 真庭市 + 株式会社  東畑建築事務所
 <詳細資料> CLT構造体感空間

<作品講評>
CLTは中高層建築物の構造の可能性が注目を集めているが、もっと様々な使い方があっても良いであろう。その中で、バス停という、人々の目に触れる所に使用されている点が良いCLT利用の一つの形である。

(一社)日本インテリアプランナー協会賞

 八幡浜みなっとトイレ棟
 佐本 佳穂、日浦 裕子、佐本 雅弘
 bUdアトリエ一級建築士設計事務所
 <詳細資料> 八幡浜みなっとトイレ棟

<作品講評>
照明された木材が美しく、非常にデザインに優れている。愛媛県八幡浜の、みかんの段々畑をイメージして造られた事もあり、これからの道の駅を作る上でヒントになる作品である。また、通常、トイレの木材利用は木が隠れて見えない事が多いがこの作品は違う。木材の見せ方としても、新たな境地を開いている。

日本木材青壮年団体連合会会長賞

 panscape 二条
 今津 康夫
 ニンキペン
 <詳細資料> panscape 二条

<作品講評>
パンケースの台として太い木材が使用されており、素朴さの中に迫力を感じさせる。木を沢山使う方向とは別に、まさに「木の良さ」を活かした作品である。見た人がイマジネーションを受ける作品である。

木質開拓賞

日本木材青壮年団体連合会 会員特別賞

八幡浜みなっとトイレ棟
佐本 佳穂、日浦 裕子、佐本 雅弘
 bUdアトリエ一級建築士事務所

※「木質開拓賞」について
日本木材青壮年団体連合会 会員約800名による投票によって決定。
審査会より事前に投票を行っており、審査会当日その他賞と重複した場合はその賞とのW受賞とする。
今回は上記(一般社)日本インテリアプランナー協会賞とのW受賞となりました。

部門賞

第1部門賞

 写真:宮本 和義
会津坂下町立坂下東幼稚園
阿部・辺見・秋月設計共同体+嶋影+坂詰+三瓶+田中+鈴木
<詳細資料> 会津坂下町立坂下東幼稚園

<作品講評>
全て地場産材を使った作品で、特徴的な天井が魅力である。デン(子供専用の小空間)なども面白い。

第2部門賞

 羊蹄山ファームハウス
 遠藤 謙一良
 株式会社 遠藤建築アトリエ
 <詳細資料> 羊蹄山ファームハウス

<作品講評>
田園風景に合っていてとても美しい建築である。羊蹄山という多雪地域に建設されている事を考えても面白い。

第3部門賞

 西条市庁舎新館
 株式会社 安井建築設計事務所
 <詳細資料> 西条市庁舎新館

<作品講評>
多くの方が利用される市役所という場所で、これだけの木材を使用している事が高く評価出来る作品である。木材の普及の観点及び、木材の地産地消の観点からも素晴らしい。

第4部門賞

 樹木の通り抜け
 小川 泰輝
 <詳細資料> 樹木の通り抜け

<作品講評>
自然に立っている木と木材との両方を楽しむという作品である。上から木を眺めるという経験は、ワクワクドキドキとさせられるであろう。

第5部門賞

 酒枡テーブル&チェアー
 高木 正三郎
 設計+制作/建築巧房
 <詳細資料>第5部門 酒枡テーブル&チェアー

<作品講評>
酒造屋さんが所有する150年続く酒蔵をリノベーションした式場に置かれるテーブルセットであり、アイデアが高く評価出来る。

木材活用特別賞

 銀座の木の積層体
飯塚典子(株式会社アイシン)

帽田秀樹、黒田隆士(株式会社竹中工務店)

 <詳細資料>銀座の木の積層体

 

 木の歯科
 平沼 孝啓
 平沼孝啓建築研究所
 <詳細資料>木の歯科

 

 端材を利用した積層型ユニットシェルフ
 塚越智之、宮下淳平(設計者) 土井零視(生産者)
 塚越宮下設計(設計者) 株式会社越前屋(生産者)
 <詳細資料>端材を利用した積層型ユニットシェルフ

 

 ジュウデンハウス
 川添 英司
 ゆうぼく人
 <詳細資料>ジュウデンハウス

 

 小汐井神社拝殿
 二宮 卓也
 株式会社竹中工務店大阪一級建築士事務所
 <詳細資料>小汐井神社拝殿

 

 熊本県立球磨工業高等学校 管理棟
高橋晶子+高橋寛(有限会社ワークステーション)

濵田裕史(株式会社モードフロンティア)

萩嶺宣治(萩嶺一級建築士事務所)

 <詳細資料>熊本県立球磨工業高等学校 管理棟

 

 木の下のマテリアル
 西 和人
 西和人一級建築士事務所
 <詳細資料>木の下のマテリアル

 

 前網浜コミュニティストレージ
 小林 博人
 株式会社小林・槇デザインワークショップ
<詳細資料>前網浜コミュニティストレージ

 

第18回木材活用コンクール あいさつ

 日本木材青壮年団体連合会主催の「木材活用コンクール」も今回で18回目を迎えました。
 木材の新しい用途での普及と木材の利用拡大に貢献する事を目標として毎年開催しております。今回は、194作品の応募がありました。コンクールにご協力頂いた多くの方々に感謝するとともに、着実に「木材活用コンクール」が多くの皆様に周知して頂いていると確信しております。
 今年も、農林水産大臣賞並びに国土交通大臣賞の二つの大臣賞を最優秀賞とし、昨年から創設した木青連会員特別賞である「木質開拓賞」も継続し、併せて20の作品を選出させて頂きました。
 今回の「第18回木材活用コンクール」を開催するにあたり、後援・協賛を頂きました各種団体・企業の皆様、厳正に審査して頂いた深尾審査委員長を始めとする審査員の皆様、そして全国各地の木青連会員の皆様、その他多くの方々に多大なるご支援.ご協力を頂き心より感謝申し上げます。また、私自身も担当委員長として、貴重な体験と全国各地の多くの方々と出会う機会を頂いた川西会長を始めとする執行部の皆様に改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました

平成26年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 氏平 祥光