目次
第20回木材活用コンクール(平成28年度)
応募総数 | 203 | ||
第1部門 | 木造及び混構造建築・構造物 300㎡超え | 44 | 22% |
第2部門 | 木造及び混構造建築・構造物 300㎡以下 | 77 | 38% |
第3部門 | 木質空間(インテリア・エクステリアの木質化) | 37 | 18% |
第4部門 | クリエティブユース(1~3部門以外の創造的木材活用事例<ランドスケープ・インスタレーション・家具・木製品など>) | 45 | 22% |
審査委員会
審査講評
第20回目の木材活用コンクールは、203の作品に応募していただきました。昨年に比べ大幅な増加となり関係者一同、たいへん喜んでおります。以前の五部門から四部門で募集するという変更も定着し、第一部門44作品、第二部門77作品、第三部門37作品、第四部門45作品と、部門ごとのバラツキも少なくなりました。
建築作品に関しては、今年も木材の様々な活用方法が示され、大規模木造建築のレベルは、ますます高まってきております。そのなかで、農林水産大臣賞受賞作品は、従来の概念の大規模建築ではなく、駅のプラットフォームの屋根に多量の木材を用いたことが高く評価されました。一方、国土交通大臣賞受賞作品は、東日本大震災後の災害公営住宅が選ばれました。優れたデザインの共同住宅が木材を活用して建設されたことは、大きな意味を持つと思われます。そのほかの質についても、「木材活用コンクール」という、この賞の目的に適合した作品を選ぶことができました。日本木材青壮年団体連合会の会員の皆様が選定するという会員特別賞も定着してまいりましたが、今年は、農林水産大臣賞との重賞となりました。審査員による選定と会員の方々の意見が一致したと言ってよいかもしれません。 審査結果ですが、第一部門の、「木造及び混構造建築・構造物の大規模部門」は力作ぞろいで、選考にあたった審査員の方々も、候補を選び出すのに苦労されたようです。レベルが極めてたかくなり、数年前であれば確実に部門賞以上となった作品でも、落とさざるをえないという、苦渋の選択を強いられました。
第二部門の「木造及び混構造建築・構造物の小規模模部門」には、今年も多様な作品が寄せられました。ただ、今年も住宅作品で選ばれたものは少なく、少し残念であります。第三部門の「木質空間」には、今年も様々な提案が寄せられました。この部門は、デザインの良さがポイントとなるようです。
第四部門の「クリエイティブユース」には、その名にふさわしい作品が45点も寄せられました。この部門も定着してきたと感じられます。今年設けられた「和の文化賞」と「防災対策賞」についても、ふさわしい作品を選ぶことができ、賞を設けた意義があったと考えております。
四つの部門の中から、厳正に審査を行った結果、農林水産大臣賞と国土交通大臣賞をはじめ、22の作品を入賞作品としました。部門ごとにも、8、6、4、4作品となり、バランスのとれた選考になったと考えております。
また、今回は、2 0回目の記念として、過去5年の受賞作品の中から、「第2 0回特別記念賞」が選ばれました。審査会では3作品が候補に残り、僅差ではありましたが、記念賞に相応しい建築として、昨年の国土交通大臣賞受賞作品が選ばれました。
審査委員長
深尾 精一
審査員
(敬称略)
[審査委員長]
深尾 精一
首都大学東京名誉教授
[審査委員]
有馬 孝禮
東京大学名誉教授
加藤 昌之
株式会社加藤設計代表取締役
古久保 英嗣
(公財)日本住宅・木材技術センター理事長
中川 誠一
(一社)日本インテリアプランナー協会 顧問
松井 郁夫
株式会社松井郁夫建築設計事務所代表取締役
藤田 香織
東京大学大学院准教授
宮澤 俊輔
林野庁 林政部 木材産業課長
澁谷 浩一
国土交通省 住宅局 木造住宅振興室長
越井 潤
日本木材青壮年団体連合会会長
浅岡 秀哉
日本木材青壮年団体連合会 木材活用委員会 担当副会長
三谷 州平
日本木材青壮年団体連合会 木材活用委員会 委員長
最優秀賞
農林水産大臣賞
都市の鉄道施設に大量に木材を用いたことが高く評価でき、構造デザインの工夫も優れている。
国土交通大臣賞
矢吹町中町第一災害公営住宅 |
八木 敦司、久原 裕、加藤 征寛 |
スタジオ・クハラ・ヤギ + team Timberize 、MID研究所(構造) |
〈詳細資料〉矢吹町中町第一災害公営住宅 |
共同住宅の木造化に意欲的に挑戦しており、震災復興事業としても高く評価できる。
優秀賞
林野庁長官賞
陸前高田市立高田東中学校 |
日野 雅司、栃澤 麻利、安原幹 ( SALHAUS) |
佐藤淳(佐藤淳構造設計事務所) |
〈詳細資料〉陸前高田市立高田東中学校 |
鉄骨と木材を斬新な形で組み合わせて、デザインも優れている。降雪時の荷重対応にも工夫がある。
(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
梅郷礼拝堂 |
加藤 詞史(株式会社加藤建築設計事務所) |
山田 憲明(株式会社山田憲明構造設計事務所) |
〈詳細資料〉梅郷礼拝堂 |
<作品講評>
力の流れを上手に利用したデザインとすることにより、木の構造体の魅力を高めている。
(一社)全国木材組合連合会会長賞
山元町立山下第二小学校 |
八木 真爾、谷口 直英(佐藤総合計画) |
末光 弘和、末光 陽子(SUEP.) |
〈詳細資料〉山元町立山下第二小学校 |
<作品講評>
扇状の木造架構を鉄骨の柱と組み合わせ、環境に配慮した魅力的な学校を造り上げている。
(一社)日本インテリアプランナー協会賞
Sentir La Saison SensyuKoen |
納谷 学、納谷 新 |
納谷建築設計事務所 |
〈詳細資料〉Sentir La Saison SensyuKoen |
<作品講評>
木材の多くのパーツを魅力的に組み合わせ、ドラマチックな空間を構成している。
日本木材青壮年団体連合会会長賞
わらしべの里共同保育所 |
古川 泰司 |
〈詳細資料〉わらしべの里共同保育所 |
<作品講評>
製材を活用し、正統的な架構によって清々しい保育所を造り上げている。
特別賞
和の文化賞
キナリノイエ |
甲村 健一 KEN一級建築士事務所 |
〈詳細資料〉キナリノイエ |
<作品講評>
居心地のよさそうなデザインであり、最新の工法で伝統的な和風を構成している。
kaorimasu |
田中 智也(株式会社 田中工藝) 小林 哲治(人の力設計室) |
〈詳細資料〉kaorimasu |
<作品講評>
口に当たる部分を斜めに面取りすることにより、美しい桝を様々な樹種で作り上げている。
防災対策賞
縁側のあるみんなの家 |
大谷 一翔、柿内 毅、堺 武治、坂本 達哉、佐藤 健治、長野 聖二、 原田 展幸、深水 智章、藤本 美由紀、山下 陽子 |
黒岩 裕樹( kulos+) |
〈詳細資料〉縁側のあるみんなの家 |
<作品講評>
仮設住宅団地の集会所を、木造らしく周囲に開かれた形で構築しているところが評価できる。
木質開拓賞
日本木材青壮年団体連合会 会員特別賞
東急池上線戸越銀座駅 |
東京急行電鉄、鈴木靖+奥村政樹、稲山正弘、田尾玄秀 |
アトリエユニゾン、ホルツストラ、樅建築事務所 |
〈詳細資料〉東急池上線戸越銀座駅 |
※「木質開拓賞」について
日本木材青壮年団体連合会 会員約908名による投票によって決定。
審査会より事前に投票を行っており、審査会当日その他賞と重複した場合はその賞とのW受賞とする。
今回は上記「農林水産大臣賞」とのW受賞となりました。
部門賞
第1部門賞
落合総合センター |
真庭市長 太田 昇(真庭市 ) |
香西 喜八郎(株式会社 東畑建築事務所) |
〈詳細資料〉落合総合センター |
<作品講評>
七寸角という大断面の木材を積極的に用い、これからの木材活用の参考となることが期待できる。
第2部門賞
東秩父村和紙の里バスターミナル |
水谷 勉 |
水谷意匠一級建築士事務所 |
〈詳細資料〉東秩父村和紙の里バスターミナル |
<作品講評>
バスターミナルという、あまり用いられなかった分野に木材を用い、美しいシンボリックなものを造り上げている。
第3部門賞
垂木の住宅 |
富永 大毅、藤間 弥恵 |
富永大毅建築都市計画事務所 |
〈詳細資料〉垂木の住宅 |
<作品講評>
小断面の木材を密実に組み合わせ、木材の量感のある集合住宅の内装を造り上げている。
第4部門賞
CAVE TABLE |
花岡 徳秋 |
花岡徳秋設計事務所+NPO法人日本総合デザインサポート協会+有限会社高橋木工製作所 |
〈詳細資料〉CAVE TABLE |
<作品講評>
木材の用い方が斬新で、どの角度から見ても魅力的な家具を造り上げている。
木材活用特別賞
ヒュッテナナナ (株式会社デザイン・インプルーブメント社屋) |
丸山 晴之、和田 譜生 |
丸山晴之建築事務所+和田譜生構造設計事務所+山﨑建設株式会社(施工) |
〈詳細資料〉ヒュッテナナナ |
MORIUMIUS |
西田 司、一色 ヒロタカ、勝 邦義、岩崎 修 |
株式会社 オンデザインパートナーズ |
〈詳細資料〉MORIUMIUS |
ヤマケン 木のテント |
髙橋 勝、山と住文化の研究会(ヤマケン)メンバー + ボランティア |
一般社団法人京都府建築士会 山と住文化の研究会(ヤマケン) |
〈詳細資料〉ヤマケン 木のテント |
市立米沢図書館・よねざわ市民ギャラリー |
安田 俊也、赤澤 大介 |
株式会社 山下設計 |
〈詳細資料〉市立米沢図書館・よねざわ市民ギャラリー |
信州大学松本キャンパス中央図書館 |
小山 哲男、土田 正樹、石田 昇平 |
株式会社 大建設計 |
〈詳細資料〉信州大学松本キャンパス中央図書館 |
「入ってみたくなる、座っていたくなる」 そんなイメージの一つのカフェ。 |
神田 陸 |
有限会社 神田陸建築設計事務所 |
〈詳細資料〉「入ってみたくなる、座っていたくなる」そんなイメージの一つのカフェ。 |
日本橋木屋 東京ミッドタウン店 |
萬代基介 |
萬代基介建築設計事務所 |
〈詳細資料〉日本橋木屋 東京ミッドタウン店 |
The University DINING (千葉商科大学) |
工藤 和美、堀場 弘、佐藤 淳 |
シーラカンスK&H株式会社、株式会社佐藤淳構造設計事務所 |
〈詳細資料〉The University DINING〈千葉商科大学〉 |
第20回特別記念賞
(過去の15回〜19回の受賞作品から選定しました)
福島県国見町庁舎 ※第19回国土交通大臣賞受賞作品 |
朴 明浩、青木 豊実、森 遼樹 |
ジェイアール東日本建築設計事務所 |
〈詳細資料〉福島県国見町庁舎 |
<作品講評>
鉄骨の柱と梁を、福島県産のカラマツの集成材で包むことによって、耐火被覆の役割を持たすとともに、内部空間の木質化を図った庁舎建築である。外壁にはアカマツのルーバーを配し、そのピッチに変化を与えることによって、木材を効果的に用いている。また、ところどころに突き出して設けられたバルコニーの壁と天井を木質化していることも、この建築を魅力的にしている。室内の床も県産材のスギを圧密加工したものである。木造にしたためにボッテリとした印象になる建築も多い中で、スマートな印象の建築となっており、木材活用の一つの方向を示している。
第20回木材活用コンクール審査会を終えて
この度は「第20回木材活用コンクール」にご応募いただき誠にありがとうございました。
3月12日(日)㈱内田洋行様 新川オフィス ユビキタス協創広場にて、第20回木材活用コンクールの審査会を開催しました。今回は、総数203作品の応募をいただき、その中から、予備審査を通過した83作品が審査対象となり、22作品を選定いたしました。応募していただいた作品はどれも素晴らしく、甲乙つけがたい作品ばかりでした。今年も多くの方にご応募していただいたことに、心から感謝いたしております。
また最後になりましたが、審査会の設営から運営までお手伝いしていただきました、内田洋行様はじめ、審査委員の皆様、木材活用委員会の皆様、日本木青連の皆様、そして本コンクールに協力いただいております全国の皆様のお陰で審査会が無事終了したこと、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
平成28年度日本木材青壮年団体連合会
木材活用委員会 委員長 三谷 州平